本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

書評『子どもの貧困』(キッズドア渡辺由美子理事長)

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子どもの貧困対策として、主に中学生を対象とした無料学習支援に取り組んでいるNPOキッズドアの理事長渡辺由美子さんの本、『子どもの貧困〜未来へつなぐためにできること』。

 

日本が直面している子どもの貧困問題について分かりやすくまとめられており、現場での経験や子どもたちの声、マクロのデータも紹介されていて、この問題を理解するのに最適な一冊。

 

無料学習会をしながらも、本当の効果はソーシャルスキルの獲得と語られている点は納得。つまり、成績向上だけでなく、社会のなかで他人と交わり、共に生活していくために必要な能力だ。約束を守る、決められた時間に到着する、必要な連絡を入れるなどで、困窮家庭の子どもたちには不足している場合が多々あると紹介している。だからこそ、子どもたちと親身になってコミュニケーションをとることで、子どもたちの非認知能力を育てることが重要だ。

 

ポール・タフの本『私たちは子どもに何ができるのか』でも、非認知能力を育むことの重要性とその方法が語られていたが、「非認知能力の育み」こそが子どもの貧困対策、そして広く「子どもの自立する力」を伸ばすための鍵となる。

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渡辺さんの著作で紹介されていたキッズドアの取り組みで特に興味深かったのは、大学生ボランティア。様々なバックグラウンドの大学生がインターネットを通して個人で申し込んでいるという。そして、ボランティアを通して大学生自身が大きく成長したり、関わっている企業の社会人との交流の場にもなっている。大学の授業だけでは学べない何かがあるからこそ、多くの学生が申し込み、続けているのだろう。

 

子どもたち、親、大学生ボランティア、大学、企業、地域の方々などがチームを組み、互いを刺激し合って成長することで、ポジティブな循環が生まれる可能性を秘めている。日本財団でも、生活困窮家庭の子どもたちが安心して生活し、自立する力を伸ばせるような「第三の居場所」つくりを全国で展開している。

 

生まれ育った家庭の経済社会状況に関わらず、子どもたちが未来への希望を持ち、挑戦できる、そんな社会をつくっていきたい。

 

子どもの貧困 未来へつなぐためにできること

子どもの貧困 未来へつなぐためにできること

 

 

『最強の独学術』6刷重版が決まりました!

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うれしいお知らせです。

なんと、昨年8月に上梓した『最強の独学術』の6刷目重版が決定しました!

 

出版不況の昨今、せっかく出版しても数週間で書店から消えてしまうというケースが多いなか、一年近くにわたって多くの方に読んでいただいており、本当に感謝です。

ご購読いただいたみなさま、ありがとうございます!

 

これからまた書店でより目にすることになるかと思います。夏休みに向けて、あるいは2018年の後半戦を迎えるにあたって、改めて独学をスタートさせたいという方にぴったりの本です。短期の資格取得や語学学習にも、中長期で教養を深め広げるのにも、役立つ様々な独学術を紹介しています。

 

まだの方はぜひ読んでみてください!これからも応援よろしくお願いいたします! 

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

 

 

『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む』

知能テストだけでは測れない「非認知能力」、すなわち、やり抜く力や誠実さ、自制心、楽観主義などが生涯にわたって影響を及ぼし、学歴や年収などとも相関関係があることが最近注目されてきています。 

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さらに、貧困家庭の支援を行うときに、単に学習支援だけを行えばよいという単純なものではなく、非認知能力を高めることで、学習面においても生活面においても生涯にわたってよい影響を及ぼすということが指摘され始めています。

 

では、非認知能力を伸ばすにはどうしたらよいのか、具体的にどのようなサポートが必要なのか、その詳細についてはまだまだ未解明な部分が多かったのではないかと思います。そんな疑問を解決する糸口を示唆してくれる本が出たので、読んでみました。米ジャーナリストのポール・タフ氏による著作『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む』です。

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印象的なのは、以下のくだり。

非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」と考えたほうがより正確であり、有益でもある。(中略)

子供たちのやり抜く力やレジリエンスや自制心を高めたいと思うなら、最初に働きかけるべき場所は、子供自身ではない。環境なのである。

そして、乳幼児期の子どもにとって家庭環境が大きな影響を及ぼすことは当然だが、ただ家庭まかせにしておけばよいということではない。

 

たとえばジャマイカの実験では、有資格の研究者が週一回の家庭訪問を一時間行い、親に子どもと遊ぶ時間をもっと取るように指導したグループの子どもは、その後テストの成績がよく、攻撃的な行動は少なく、自制ができた。また、大人になった彼らの年収は、家庭訪問を受けなかったグループよりも平均して25%年収が高くなった。

 

家庭への介入や様々なプログラムによって、「環境」を変えることで、子どもの非認知能力を高めることができる。そのような効果検証されたプログラム自体がまだまだ少ないため、子どもたち、特に低所得層や様々な課題を抱える家庭の子どもたちの非認知能力を高める取り組みは未だ発展途上な段階だ。本著には少ないながらもそのヒントが示されている。

 

日本財団では、「家でも学校でもない第三の居場所」つくりを進めており、現在全国で7拠点を開設運営している。子どもたちのやり抜く力、自立する力を伸ばす「環境」と機会を提供できるよう、様々な人の知見と想いを集めて取り組んでいきたい。

 

子どもたちに何が必要なのか、考えていくためのベースとして、 『私たちは子どもに何ができるのか』お薦めです。

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

 
そうゾウくんとえほんづくり

そうゾウくんとえほんづくり

 

 

子どもの貧困による格差をなくすために闘います

先日ご報告しましたが、6月1日をもちまして日本財団パラリンピックサポートセンターへの出向期間が終わり、日本財団にて新設された「子どもの貧困対策チーム」のチームリーダーに就任し、同事業に責任を持つことになりました。

 

「子どもの貧困対策」という、日本社会のなかでも最も深刻で、かつ大きな、すぐに解決の道筋が見えない難題の一つに取り組むことになり、身の引き締まる思いです。

 

何より、私自身が「貧困家庭」に育ち、親が家にいない、親の収入がゼロという状態から、奨学金や様々な機会を与えられ、今に至っています。貧困家庭の子どもだった「当事者」として、この問題に生涯をかけて取り組みたいと思っていたところ、まさにその事業の責任が与えられました。天から与えられたミッション、「天職」として、全力を尽くしてまいります。

 

 

日本財団では、子どもの貧困について3年ほど前から調査を始め、その調査研究に基づき、貧困の連鎖を断ち切るため、子どもたちに「第三の居場所」を提供する事業をスタートさせています。この事業を本格化させ、しっかりと子どもたちが自立できる力をつけられるようサポートすること、そしてその規模を拡大させ、より多くの子どもたちにそういった機会と環境を提供できるようにすることがミッションです。

 

子どもたちの成長こそが未来をつくっていきます。子どもの貧困は決して他人事ではなく、すべての人に関わる社会的イシューです。子どもたちが成長していくことで、未来の社会が変わっていくと信じています。

 

子どもの貧困による格差をなくすため、我が天職として、全力を尽くし、闘ってまいります。

 

日本財団のホームページで事業の紹介と寄付の募集もしております。みなさまにもぜひご関心お寄せいただき、お力添えいただけましたら幸いです。

 

www.nippon-foundation.or.jp

4回育休5児の父が考えた「男の育休」を増やす方策

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「男の育休」について書きたいと思います。

 私は7年前の第二子出産の際に、職場で男性として初めて育児休業を取得しました。以来、4回にわたって育休を取得しています。出向もしているので、二つの職場で、一般職としても管理職としても経験しました。おそらく、男性の育休取得回数としては日本で最多かもしれません。

 

とはいえ、初めて育休を取ったときも、その後何度経験しても、職場でそのことを告げるときはかなり不安で、ドキドキしながら相談しています。事前に法律や制度、過去の事例や経験談などを調べたり、所属先の育児休業規程を熟読したり、育休期間中になくなる給与マイナス分と給付金のシミュレーションをしたり、いろいろと準備をします。

 

特に初めて取るときは、職場でも前例のなかったことなので、根回しを念入りに行いました。直属の上司だけでなく、組織のトップである会長からはじまって、関係する役員や管理職に一人一人直接話に言って、相談をするというかたちで根回ししました。もちろん、不在時に仕事が回るように、抱えている業務をチームのメンバーたちと共有することを、かなり意識して心がけました。

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私の育休後には、職場でも2人目、3人目と男性職員が育休を取るケースが増えてきています。誰かが初めて挑戦し、それが既成事実化することで、組織の文化が少しずつ変わっていくのだと思います。日本では、男性の育休はまだまだ少なく、取りにくい文化が根強く残っているので、なるべく自分の経験を社会に発信するように心がけています。

 

日本社会が、男性でも女性でも、正規雇用でも非正規雇用でも、当たり前のように育休を取得できるようになり、かつ生産性を高めることで、ワークもライフも充実させられる文化ができることを願ってやみません。

 

日本において男性の育休取得がもっと増えるための方策は具体的に何があるのでしょう。

まず、男性の育児休業取得率を都道府県別でみてみると、圧倒的に広島県が高い。2007年度の男性育休取得率は0.6%だったのが、2012年度は7.2%に急増している。その間、2010年度に湯崎英彦知事自身が知事として全国で初めて育児休業を取得し、さらに男性社員の育休取得者1人あたり最大30円の奨励金を中小企業に支給する制度を創設したことが要因の一つと考えられる。多くの中小企業は、男性社員が育休を取るような余裕がないというのは実情だろうから、そういった企業への奨励金制度によって、企業側にも大きな不利益にならないようにすることは効果的だ。ぜひ他の自治体も導入を検討していただきたい。ちなみに、広島県の2014年の合計特殊出生率は1.55と全国12位で、人口100万人以上の旧政令指定都市を抱える都道府県のなかでは、1.46の愛知県や福岡県はおさえて1位だ。

広島県は中小企業の奨励金制度を導入したが、大企業については、男性の育休取得率の公表を義務化あるいは奨励するとよい。多くの企業では、女性の育休取得率や出産後の勤務継続率を公表し定着化しているが、男性については一部積極的な企業を除いてあまり聞いたことがない。政府は「13%」という目標を掲げており、目標達成のための具体的な行動計画が必要だ。

もう一点は、育児休業中の各家庭の給与の問題だ。大抵の場合、家計の柱になっている父親育児休業を取得すると、家計が厳しくなる。2014年から育児休業給付金は以前の5割から3分の2支給(6ヶ月間まで)に増額され、この点は多少改善されたともいえ、今後の推移を見守りたい。ただし、月給だけでなく賞与も実質上は育休期間分が差し引かれることになる場合が多いので、私が以前から提言しているように、男性(または1人親の女性)の育児休業に限っては8割支給にまで増額することを提案したい。男性のみにしぼれば、対象となる母数も今のところ多くはなく、財源確保も可能なはずだ。

以上、1)中小企業への奨励金、2)大企業の男性育休取得率の公表義務、3)男性育休給付金の8割支給、これらの施策を大胆に推進することで、男性の育休取得が増える道筋が見えてくるのではないだろうか。少子化対策は、国家の存亡を左右する待ったなしの緊急課題だ。あらゆる政策を動員し解決していかなければ、子どもたちに破綻した日本社会を残してしまうことになりかねい。

育休については、私もこれまで4回も経験してきたので、いろいろと考えてきました。過去の記事もご参照ください。

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そうゾウくんとえほんづくり

そうゾウくんとえほんづくり

 

 

 

残業なしでも高いパフォーマンスを出すための極意

日本財団ヨコラボで話した「働き方改革とワーク&ライフマネジメント」の続きです。前回は「残業をなくす極意」でした。

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今回は少ない時間でパフォーマンスを出すための極意です。

 

f:id:theternal:20180608062530p:plain当たり前ですが、タイムマネジメントは締め切りを明確にすること。成果のマネジメントは目標を達成を明確にすることです。そして、明確な目標をチームで共有します。当たり前のことなのですが、あまりできていない現状が多いのかと思います。特に、私が身を置く非営利業界や公共セクターではよくあることです。

 

目標ー明確にできると、KPIを数字で設定しやすくなるので、数字を根拠に優先順位をつけます。なんとなくや好みによって仕事をしていると、短時間では成果が出ません。ずるずると残業は多くなるのに、成果につながらないということが往々にしてあります。

 

そして、時間をかけすぎて100点満点を目指すよりも、70点でも80点でもいいので素早く行動し、その結果をはやくレビューすべきです。上司にも完璧な資料でなくてもはやく出してフィードバックをもらったほうがよいですし、世に出すという点でも同様です。重要なのは、机上で考え過ぎるより、PDCAをはやく回すことです。

 

そして、自分でしかできないことは可能な限りアウトソーシングします。餅は餅屋に、専門分野は専門家に、事務は事務のスペシャリストに、思い切って任せてしまいます。この仕事場自分でしかできないという自負心は、たいていが思い込みです。アウトソーシングすることで、自分の時間ができ、タイムパフォーマンスの高い仕事に専念できます。

 

これが答えというつもりは全くありませんが、残業せずに仕事の成果を出す方法を模索してきたなかで、自分自身が気をつけているポイントです。

 

最強の独学術 自力であらゆる目標を達成する「勝利のバイブル」

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残業をなくす極意

日本財団職員が部署横断で発表したり、ディスカションしたりする企画「ヨコラボ」にて、「働き方改革とワーク&ライフマネジメント」をテーマにお話ししました。

 

その内容についてシリーズで紹介していきたいと思います。

 

まずは残業をなくす極意について。

 

私もかつては残業時間が月80時間から100時間ありましたが、今ではほぼ残業することはなく、月平均20時間ほどです。仕事は大きくなる一方ですが、なぜそれだけ残業を減らせられたのか。

 

残業をなくすための考え方はいたってシンプルです。以下の4点を意識しています。

 

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特に、終業時間の定時が締め切り時刻であること、残業はすなわち締め切りに失敗したということ、というタイムマネジメントの意識が日本にはなさ過ぎると思います。

意識だけ変えればすべてが問題解決するわけではありませんが、マインドセットが変わらなければ行動は変わりません。

 

もちろん、退社はしたものの家で仕事をしているという持ち帰り残業、不払い残業にならないように組織と管理職は注意すべきですが、まずはタイムマネジメントの意識を変えることが残業をなくす重要なポイントになると思います。