まなブロ by 本山勝寛

「学びのエバンジェリスト」本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む』

知能テストだけでは測れない「非認知能力」、すなわち、やり抜く力や誠実さ、自制心、楽観主義などが生涯にわたって影響を及ぼし、学歴や年収などとも相関関係があることが最近注目されてきています。 

motoyamakatsuhiro.hateblo.jp

さらに、貧困家庭の支援を行うときに、単に学習支援だけを行えばよいという単純なものではなく、非認知能力を高めることで、学習面においても生活面においても生涯にわたってよい影響を及ぼすということが指摘され始めています。

 

では、非認知能力を伸ばすにはどうしたらよいのか、具体的にどのようなサポートが必要なのか、その詳細についてはまだまだ未解明な部分が多かったのではないかと思います。そんな疑問を解決する糸口を示唆してくれる本が出たので、読んでみました。米ジャーナリストのポール・タフ氏による著作『私たちは子どもに何ができるのか 非認知能力を育み、格差に挑む』です。

f:id:theternal:20180614060925j:plain

 

印象的なのは、以下のくだり。

非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」と考えたほうがより正確であり、有益でもある。(中略)

子供たちのやり抜く力やレジリエンスや自制心を高めたいと思うなら、最初に働きかけるべき場所は、子供自身ではない。環境なのである。

そして、乳幼児期の子どもにとって家庭環境が大きな影響を及ぼすことは当然だが、ただ家庭まかせにしておけばよいということではない。

 

たとえばジャマイカの実験では、有資格の研究者が週一回の家庭訪問を一時間行い、親に子どもと遊ぶ時間をもっと取るように指導したグループの子どもは、その後テストの成績がよく、攻撃的な行動は少なく、自制ができた。また、大人になった彼らの年収は、家庭訪問を受けなかったグループよりも平均して25%年収が高くなった。

 

家庭への介入や様々なプログラムによって、「環境」を変えることで、子どもの非認知能力を高めることができる。そのような効果検証されたプログラム自体がまだまだ少ないため、子どもたち、特に低所得層や様々な課題を抱える家庭の子どもたちの非認知能力を高める取り組みは未だ発展途上な段階だ。本著には少ないながらもそのヒントが示されている。

 

日本財団では、「家でも学校でもない第三の居場所」つくりを進めており、現在全国で7拠点を開設運営している。子どもたちのやり抜く力、自立する力を伸ばす「環境」と機会を提供できるよう、様々な人の知見と想いを集めて取り組んでいきたい。

 

子どもたちに何が必要なのか、考えていくためのベースとして、 『私たちは子どもに何ができるのか』お薦めです。

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む

私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む