まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団から独立起業し、こどもSNS「4kiz」代表取締役。 『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。

新しい世界的社会問題との闘い、大きな夢

本日11月30日をもって、日本財団の最終出社日となり、正式に日本財団を退職・卒業いたしました。

 

長年ご指導いただいた笹川陽平会長からも退職の辞令をいただき、「卒業」のご挨拶をさせていただきました。

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笹川会長とは、かれこれ30カ国近く、海外出張をご一緒させていただきました。

インドには20回近く、他にもアジアではネパール、バングラデシュインドネシア、マレーシア、タイ、フィリピン、ミャンマー、中国、韓国。

アフリカもエチオピア、DRコンゴ、マラウィ、中央アフリカギニアブルキナファソ、ガーナ、マリ、ニジェールタンザニアウガンダ、モロッコ

ヨーロッパはイギリス、スイス、フランス、スウェーデン、ドイツ。

アメリカ、ブラジル、ペルーと世界各国の奥地まで回ってきました。

 

各国大統領や国連機関のトップと会うこともあれば、道路が通っていないような奥地や身に危険のある紛争地で患者・回復者の皆さんとお会いすることも多く、「世界は一家、人類はみな兄弟」であることを身をもって感じることができました。

 

笹川会長はWHOハンセン病制圧特別大使も務められ、コロナ前には齢80歳を超えているにもかかわらず、年の三分の一を途上国等海外への出張に費やし、世界からハンセン病を制圧すること、そして差別をなくすことに生涯を通して尽力してこられています。

かつては、世界で500万人以上いたハンセン病患者が今では激減して、世界全ての国での「制圧」もあとわずかというところまできています。笹川会長なくして、この偉業はあり得なかったことですし、病気が治っても根深く残る差別との闘いにも尽力し続けられています。

 

差別のない世界。

 

私自身も幼少期から、いわれのない差別や、理不尽な扱いをたくさん受けてきたからこそ、その難しさを痛感しています。

 

そして、そういった社会をつくっていくことの価値も実感しています。

 

どんな家庭で生まれたか、育った環境、心身の特徴、病気、障がい。。

 

人は違うことに対して差別の目を向けがちですが、違いがあるからこそ、この世界はおもしろいのであり、うつくしいのであり、違いがあるからこそ多様性がうまれ、イノベーションが生まれるのだと実感しています。

 

本日、日本財団ビルの4階にある日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)も訪問し、パラサポの山脇会長、小澤常務理事にもご挨拶させていただきました。

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写真は思い出深い、香取慎吾さんの壁画の前でのスリーショットです。20数団体のパラリンピック競技団体が入居する共同オフィスがまだ出来上がる前の工事中に、香取慎吾さんが毎晩のように壁画を描きに来られたことが昨日のことのように想い出されます。

壁画のテーマでもあり、パラサポのキーメッセージ「i enjoy! 〜 楽しむ者は強い!」は、パラアスリートたちから学んだ物事に対する大事な姿勢です。

違いを力にし、スポーツにも仕事にも真剣に向き合い、思いっきり楽しむ。

違いを認め合い、尊重し合い、自然に混ざり合う。

インクルーシブな社会。

机上の空論ではない姿をパラサポでの経験を通して学ばせてもらいました。

 

日本財団は、国内最大の助成財団として日本の非営利業界をリードしてきた歴史ある組織です。

ダイバーシティ&インクルージョンSDGsの推進が企業も含めて世界的に注目されるなか、今後もその役割はより重要になってくるでしょう。

 

しかし、アフターコロナの次なる世界のあり方を考えたとき、インターネットとテクノロジーの力を最大限活用できる強みを持ち、企業と非営利、政府と民間の境界を越境して、資本の力を集めながらも社会的事業を新しい発想で展開する新たな組織の台頭が、時代的に要請されてくると思っています。

 

そして、違いを認め合い、自然に混ざり合う社会をつくるにあたって、よいコミュニティをつくることさえできれば、実はインターネットのもつポテンシャルは極めて高いと思っています。

ネットの世界は、一方では誹謗中傷と差別の温床となってしまっています。この新しい大きな世界的社会問題に対して、真っ向から闘っていかなければなりません。

私は、差別や誹謗中傷を助長し、性犯罪を放置しているとも言えるTwitter社とは、真っ向から闘っていくつもりです。(逆にTwitterが差別と闘うときに役立つツールにもなっている諸刃の刃であることも、理解しています。)

一方で、インターネットの持つポテンシャルは、生まれ育った環境や、経済状況、身体的特徴などを気にせずにフラットな社会をつくることが可能な点です。

違いを気にせずに、自然に混ざり合う社会をつくる大きなポテンシャルを持っているのです。

 

私自身はまだまだ未熟者ですが、インターネットのポテンシャルを最大限に活用したうえで、日本を代表して世界に貢献できる新たな組織を創り出していくこと、そして、子どもたちに新たなるより良き世界をつくり出していくことを、生涯をかけたライフワークとしてチャレンジしていきたいと思います。

 

世界で初めての12歳以下の子ども向けSNSを立ち上げるために起業するという意志のバックボーンには、そんな想いがあります。

 

大きな夢をもちながら、目の前のどんな小さなことにも全力で。

新しい未来を創造していくことを、とことん楽しんで。

新しい大きな世界的社会問題に対して、目を背けずに真っ向から闘い抜く。

そして、同じ想いを持つ仲間や、未来をつくっていく子どもたちと一緒に。

 

明日に向かって挑戦します。

 

クラウドファンディングでの応援も引き続き大募集しています。ぜひ応援よろしくお願いいたします。

https://camp-fire.jp/projects/view/474740

camp-fire.jp

 

 

日本財団を退職し、起業して「こどもSNS」を立ち上げます!

この度、14年間勤めた日本財団を退職し、独立起業する決断をいたしました。

今年で40歳を迎え、人生最大の決断とチャレンジをいたします!

元々私は、「人生50年計画」なるものを胸に抱いていました。

論語でも「四十にして惑わず」と言われていますが、40で「旗を立てる」ことを目標に、今年は「立旗導千」を年始の標語としていました。

motoyamakatsuhiro.hateblo.jp

 

14年勤めてきた日本財団には本当に想い入れが強いです。

ハーバード大学院を卒業した後、コンサルティングファームなど他の企業の内定を蹴って、一番給料の低い日本財団を選びました。

留学中に、アメリカで非営利業界が非常に活性化し、社会を動かす牽引力になっていることを間近で感じ、日本でも非営利の世界を活性化することが日本社会を変革する鍵になると考えたからです。

また、日本と海外の両方で大規模に事業展開する日本財団を通して、日本の課題を解決するとともに、日本の強みを通して世界に貢献していきたいという強い想いから日本財団に入社しました。

 

日本財団でお世話になった皆様には本当に心から感謝申し上げます。

広報部、国際事業部、パラリンピックサポートセンター、人材開発チーム、子どもサポートチームと、多数の部署を経験しました。

 

笹川陽平会長と世界中の奥地まで渡り歩きハンセン病の制圧と差別撤廃のため奔走させていただいたことは、なにものにも代え難い経験です。

一番忘れられない瞬間は、ペルーの奥地で、笹川会長の心臓が急に止まり意識を失って倒れたときです。

急ぎ現地の病院に運び、集中治療室での手術の結果、回復されましたが、文字通り、命を懸けて生涯のライフワークとするということの意味を考えさせられました。

私自身も、そのように命を懸けてライフワークとする天職を見つけ、邁進しなければならないと思ったことは、今回の起業を決断した一つの要因でもあります。

 

2015年に日本財団パラリンピックサポートセンターを創設し、ゼロから組織づくりと多数の新規事業を立ち上げた経験は、まさにベンチャー企業創業のような貴重な経験でした。

まだパラスポーツの認知度が非常に低い時期、SMAPの皆さんに初開催したパラ駅伝に応援に駆けつけていただき、駒沢オリンピック公園陸上競技場で、選手とボランティア、大会スタッフ、1万数千人の満席の会場の皆さんと最後に「世界に一つだけの花」を歌って、全員が一つになった瞬間は決して忘れられません。

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その後も、ファンのみなさんたちに支えられパラスポーツが発展していく過程を通して、応援のもつ大きな力、想いを行動に移すことで必ずかたちになっていくことを実感しました。

 

子どもサポートチームでは困難に直面する子どもたちの生き抜く力を育む「子ども第三の居場所」を全国に展開する事業の責任者をつとめました。

新規事業の立ち上げ期で、事業存続の危機にある非常に困難な状況のなかにありましたが、子どもたちのために、自分が今ここで諦めてはいけないという想いから、山積みされた課題の解決に一つ一つ取り組んできました。

多くの関係者に支えられ、今では全国98拠点にまで拡大し、国の事業としても「子どもの居場所支援モデル事業」が新規事業として立ち上がり、事業が軌道に乗ってきたと感じています。

私の天職は、子どもたちの未来をつくること、子どもたちのために学びのイノベーションを起こしていくことだということを再確認させてくれた貴重な経験でした。

 

14年を通して世界中で素晴らしい人たちと出会い、より良い世界を創っていく多数のプロジェクトに携わらせていただくことができ、感無量の想いです。

 

これらの経験を土台に、世界中の子どもたちの可能性を無限に引き出す世界的なプラットフォームを日本発で創造し、世界に学びのイノベーションを起こしていくべく、今回の起業を決断いたしました。


具体的には、世界で初めての12歳以下の子ども向けSNSを立ち上げます。

大手のSNSであるフェイスブックやインスタグラム、ツイッターなどは全て利用規約上13歳以上しか利用できません。

12歳以下の子どもが使えるSNSは未だに世界に存在していないのです。

一方で、子どもたちがスマホタブレットをもってインターネットを利用するのが当たり前の時代になりました。

12歳以下でも利用規約を違反してツイッター等を利用している子どもが多く、決して安全ではない状況に曝されています。

そこで、親子で取り組む安心安全なオンラインのプラットフォームをつくり、子どもの創作意欲を刺激するSNSにしようと思ったのが起業の動機です。

子どもを守るためにセキュリティを高め、誹謗中傷やいじめなどの問題が起きないようNGワードを設定したり、保護者が管理承認できる機能を搭載したりする予定です。

絵やブロック、自由研究、生き物観察などを投稿しシェアすることで、子どもの創作意欲を高める仕掛けを用意します。

「子どもたちの可能性を無限に引き出す世界中のつながりをつくる。」というミッションを掲げて挑戦していきます。

f:id:theternal:20211114072137j:plainとはいえゼロからの立上げですので、クラウドファンディングで開発資金や仲間を募るところから始めます。
詳細はCampfireの以下URLページをご覧ください。皆さまのあたたかいご支援をお願い申し上げます!
https://camp-fire.jp/projects/view/474740

camp-fire.jp

 

子どもの、子どもによる、子どものためのSNSを日本発で世界に拡げることで、新しいイノベーションをもたらすべく邁進していまいります。

 

感謝と挑戦を胸に、新たな門出をスタートいたします。

「等身大の東大について」女性セブン東大特集取材回答全文

女性セブン23号で東大特集が組まれ、取材質問に対して回答し、そのうち一部コメントが掲載されました。せっかくですので、私の回答全文を掲載します。

news.yahoo.co.jp

 

●質問:東京大学(以下東大)では、「1~2年次は教養学部に所属し、希望学部への進学は3年次からのため、はじめの二年間は進学選択のために必死に勉強せざるを得ない」と聞きます。こうした環境は、学生に学びを促すうえで、どのように役立っているとお感じになりますか?

 

回答)専攻を決める前に、12年時に全員が教養学部に所属し、理系文系の枠を超えて幅広く教養を広げれらる機会があることは、学びの幅を広げ、かつ自分が本当に深めたい専門分野を見出す期間として、効果的な仕組みだと思います。

私自身も、入学当初は宇宙物理学をやりたいと考えていましたが、途中で興味関心が広がり、システム創成学科という理系と文系を融合した新しい分野の専攻に進むことになりました。

「必死に勉強せざるを得ない」という効果もさることながら、学びの幅を広げ、リベラルアーツとしての全ての学問の教養の土台を身につけられることにより意義があると考えます。

 

 

 

●質問)東大には「逆評定」「法学部の書き起こし文化」など、学生同士で勉強をスムーズに行うための取り組みがあり、それはしばしば新入生や障がいのある学生の学習にも役立っていると聞きます(早稲田大学の類似する評定は「いかにラクに単位が取れるか」が重視されていて、書き起こしははじめから障がいのある学生限定かつ事前の申請が必要になります)。このように、東大生が自ら学びを良くしようという取り組みは、ほかにどのようなものがあるか、ご存じでしたらお聞かせください。

 

回答)12年時に、授業のノートをとってまとめる「シケプリ」と、それを担当する「シケ対」という学生の自主的な取り組みがあります。シケプリを頼りに授業をさぼってしまう学生もいるので、あまり良い取り組みとは言えないかもしれませんが、相互に勉強を助け合うという文化はあるのかもしせん。

 

 

●質問)やはり国内最難関の偏差値であることから、入学した時点で多くの東大生が勉強することに対しての楽しさや、自分なりの意義を見出しているのではないかと思います。実際、東大の学生の方々は、(机上の勉学に限らず)「学ぶ」ということについて、どのような考えで、どのような姿勢で取り組んでおられるのでしょうか。また、先生方は、どのような姿勢で学びを促しておられるのでしょうか。

 

回答)学問に対する真剣さや知的好奇心、探究心は全般的に高いように思います。

人によりますが、物凄い読書量の人もいて、私自身はそういった友人に刺激を受けて、本をよく読むようになりました。

先生方はどちらかというと教育より研究に重点が置かれているようにも感じました。12年時は大教室での講義が多く、授業の質は高かったとは言えないかと思います。

 

 

●質問)ご自身は東大での4年間を学費ゼロ円で過ごされたとおっしゃっておられました。東大の学生への経済的支援のシステムは、他大学と比較するとどのような点が優れているといえそうでしょうか。

 

回答)まず国立大学として授業料減免制度が充実しています。また民間の給付型奨学金も大学に案内が多数掲示されていて、各財団による選考はあるものの、比較的受けやすいのではないかと思います。私自身も給付型奨学金をある財団から受給していました。

 

 

●質問)優秀な学生を育てるには、「なぜ」と「異なるもの同士の組み合わせ」が重要だと、プレジデントにて書かれていました。東大でも、学生がこれらのことに接し、自ら考える機会や制度、風土は設けられているとお考えになりますでしょうか。また、それはどのような形でしょうか。

 

回答)「なぜ」を問われることは学問を深める際に比較的多いかと思います。ただし、欧米のように哲学や宗教学が盛んではなく、大学発祥のDNAとなっているわけでもないので、根源的な「なぜ」の問いを投げかけられるような文化風土は薄いように思います。

「異なるもの同士の組み合わせ」は欧米と比較すると非常に限定的だと感じます。学部生は留学生が少なく、また男子学生が多かったり、文化や宗教的バックグラウンドも多様ではないため、異質なもの同士がぶつかったり、化学反応を起こすようなことが少ないと思います。

それでも、多数の学部からなる総合大学で、12年時の教養学部制を大事にし、分野横断の学際的なアプローチを重視していることから、異なる専門領域同士の組み合わせは、国内の他大学より進んでいる印象です。

 

 

●質問)「日本国内で取引されるかぼちゃは、北海道産のものとオーストラリア産のものが多い。オーストラリアからかぼちゃが輸入されている理由を答えなさい」(‘15年の地理)という問題が出たことがテレビドラマで取り上げられ、話題になっています。劇中では「多角的なものの見方をして、ものごとの本質を考えられる人材を求めていることの表れ」だと言われていましたが、実際のところ、東大生や東大卒業生は、そのような考え方や視点の身についている人が、やはり多いのでしょうか。東大生・東大卒業生に多い思考・学び方の特徴や、東大で身につく学びの共通点などがもしありましたらお聞かせください。

 

回答)暗記した知識の量ではなく、基本的な知識や理論を駆使しながら自分の頭で多角的に論理的に考え抜くことは各教科の入試問題にも特徴があるように、大学として重要視している姿勢だと思います。その姿勢は入試から授業まで一貫しており、結果的に、そのような学生が集まり、巣立っていく傾向にあるように思います。

考えることが好きな人が多いですね。

 

 

●質問)「世界大学ランキング」などを見ると、東大は世界規模では36位で、東大でも優秀な学生は海外へ留学して活躍するケースが多いと聞きます。ハーバード大学、オックスフォード大学と、世界のトップの大学と東大の間には、どのような違いがあるのでしょうか。お考えをお聞かせください。

 

回答)集まる学生や教授陣の多様性、国際性が最大の違いです。ハーバードはじめ世界のトップスクールは世界中から一流の人材が集まり、その多様性のある環境が創造性を掻き立て、新たなイノベーションが生まれやすい好循環が生まれています。

 

 

●質問)一方で、国内の他大学と東大の間には、教育システムや環境、風土において、どのような違いがあるとお考えになりますか。

 

回答)国内トップのブランドは維持していますので、学力レベルの高い学生が集まり、国立大学として研究費も他大学より潤沢です。また、12時の教養学部制を持つことから学際的な風土も他大学より備わっているかと思います。歴史的な経緯から、政官学の関係の深さも一つの特徴だと言えます。

 

 

 

●質問)東大では、‘21年現在でも男子学生が8割、女子学生が2割と、男女の人数差がしばしば話題になります。現在、女子学生を対象とした住宅支援や活躍支援基金などの制度を充実させ、もっと女子学生を増やそうという取り組みをしているようです。東大では女子学生の比率が他大と比べてかなり少ないのは、どういった背景からだとお考えになりますか?

 

回答)入試の募集人数が文系より理系が多く、日本は女性よりも男性が理系を選択する割合が高いのが一つの要因かと思われます。また、文系のなかでも法学部や経済学部は比較的男性が多いですが、教育学部や文学部、教養学部よりもそれらの学部の人数の方が多いことも要因です。

女子学生を増やす意味でも、12年時のリベラルアーツを徹底する意味でも、文Ⅰ〜理Ⅲ制・理系文系枠を取っ払い、全教養学部で共通にするほうが私は良いと思います。

 

 

●質問)「東大だからこそ得られる学び」、またその一方で「いまの東大では得られない学び」とは、どのようなものでしょうか。ご自身の体験なども含めてお聞かせください。

 

回答)出会える学生や教授陣の質という点から国内ではやはりトップレベルだと思います。日本語で学び、研究するという点では最高の環境で、かつ低コストで、場合によっては費用ゼロで学ぶことができるので、コストパフォーマンスは高いです。

一方で、世界中から集まるトップレベルの学生や教授陣と多様性のある国際色豊かな環境で、英語で学べるかというと、かなりの限界があります。グローバル化の時代には物足りないところがあり、私自身はそれで東大卒業後、ハーバードに留学しました。

 

 

 

●質問)今後、国内または世界で求められる「頭のいい学生」「優秀な学生」とは、どんな人物だとお考えになりますか。また、現在の東大は、その教育システムや支援制度、風土によって、そうした学生を多数輩出する「最高学府」であり続けるでしょうか。お考えをお聞かせください

 

回答)絶え間ない好奇心と探究心を持って、新しい分野を開拓し、創造力を発揮できる人だと考えます。

正直なところ、今の東大には限界があると感じています。先に挙げた入試制度改革や、リベラルアーツ改革、留学生や教授陣の国際性推進の抜本的変革などやるべきことは多いですし、そのような改革に取り組めるマネジメント人材が必要だと思います。

 

 

40歳の誕生日に息子から贈ってもらった短編小説『僕と父』

先日、誕生日を迎え、40歳になりました。 

12歳の長男・誠人から、「お父さん、誕生日プレゼントなにがほしい?」と聞かれました。長男は、4人の弟・妹たちを含めて家族の誕生日にいつもプレゼントを用意してくれます。

私は、「誠人が元気でいてくれるのがお父さんへのプレゼントだよ」と、はじめ答えました。でも、やはり何かをプレゼントしたいようで、何度も聞いてくるので、「誠人が書いた本がほしい」と答えました。

そんな父の”わがまま”に応えてくれて、手作りの「本」である『僕と父』という短編小説をプレゼントしてくれました。

そんな長男は、先日、小学校を卒業しました。

息子がプレゼントしてくれた小説を紹介します。

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『僕と父』

本山誠人

 


「ミーンミンミンミンミーン」とセミが鳴いた。

ある日の夏のこと、僕は暑すぎて床で眠っていた。

家には母しかいない。

父は数年前に交通事故で亡くなって天国に行ってしまったため。

僕は父にとても会いたいと思っている。

そして父がいなくなってしまったため、家の事は僕が手伝わなくてはならなかった。

母しか働く人がいないので、給料も少なく暮らしは貧しかった。

そのせいで僕は少し学校でいじめられていた。

そして僕は、いじめられるようになり、部屋に引きこもるようになってしまった。

父がいなくなっただけだけど、一気に暮らしが不便になってしまった。

 

 

話は戻るが、僕は床の上で眠っていて、夢を見ていた。

夢の中では、僕が住んでいる町と同じ風景が映っていた。

そして、家を出た時に僕の家で死んでしまったカエルが現れて、僕にこう言った。

「この先の裏山にあるトンネルの中に入れば、大切な人を取り戻せることができる。

ただし、生きて戻ってこれる保証はない。」

僕はしばらく考えた後、カエルに言った。

「分かった。行くしかない!」

そして、いつも裏山に行くルートを通って裏山まで来た。

裏山に着くとカエルが言っていたようにトンネルがあった。

そのトンネルはとても大きく、迫力があった。

穴の中は暗く、とても怖くて前に進めなかったその時、夢から覚めることができた。

 

 

「今の夢は何だったんだろう。」と思いながら、ほっぺをつねった。

「イテテテ。」

現実だった。

「今のはまさか正夢か。」

自分の部屋を飛び出し、家を出たらさっきの夢の中で出会ったカエルが出てきた。

そして、また夢の中のと同じ事を話した。

「これは正夢じゃないか。」と気付いて、すぐに裏山に向かった。

裏山にはやはりあのトンネルがあった。と次の瞬間だった。

「シューン」と穴の中に僕は吸いこまれた。

 

 

落ちた先は雲が下にあり、周りはたくさんの草花や動物、川、海などがある世界だった。

ここに父はいると思うと、会いたくて会いたくてたまらなかった。

すると、突然、家で死んでしまった犬が現れた。

そして、父がいる場所まで案内してくれるようだ。

この世界はとても面白い。

動物や植物と話せたり、空を飛べたりすることができる。

しばらく行くと谷があった。

僕は「余裕だよ。空も飛べるし。」と言ったが、

犬は「ここは飛べないんだ。でも、お父さんとの思い出と引きかえにならここは越えられる。」と犬は言った。

僕はしばらく考えた。

「よし、しょうがない。」

僕は父の思い出と引きかえに谷を越えることにした。

父の思い出を抜いたら、谷がなくなり、超えることができた。

また、しばらく歩いていくと大きな川があった。

また、思い出を使って、川をこえることができたが、僕と父との思い出はどんどんなくなってしまった。

 

 

川を越えてから一日経って、丘に着いた。

ふと上を見上げると、竜がいた。

どうやらこの竜を倒したら父に会えそうだ。

やるしかないと。と勇気を振りしぼり、竜に突進した。

しかし、あっさりと捕まってしまった。

もう終わりだ。と思ったその時だった。

家の前で会ったカエルが大きくなり、僕を助けてくれた。

そのままカエルはボロボロになりながらも竜を倒してくれた。

「ありがとう。カエル、大丈夫?」

するとカエルは

「僕は大丈夫だからお父さんがいる所に行って。」と言い、犬といっしょに父がいる所へ向かった。

 

 

そこには父がいた。

父と数年ぶりに再会した。

涙があふれた。

父も涙があふれていた。

父に会ったのもつかの間、父は透明になって、消えそうだった。

「待って、行かないでお父さん。」

「今までありがとう。」と言って、父は消えていった。

いつの間にかカエルも消えていた。

 

 

気がつくと、家に戻っていた。

「ただいま。」と言って家に入ると母が

「おかえり。」と返してくれた。

自分の部屋に入ると父が見守っているような気がした。

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これからの時代に重要な力「好奇心」

Yahoo!ニュースのトップページに『たまひよ』のインタビュー記事「貧しい家庭から独学で東大、ハーバードへ 5児の父が実践する子育てのための時間管理」が掲載され、たくさんの反響やコメントをいただいているので、改めて私自身の人生が「好奇心」を原動力に可能性の扉が開かれてきたこと、これからの時代に「好奇心」がより重要になってくることについて書いてみたいと思います。

news.yahoo.co.jp

好奇心が東大・ハーバード合格の原動力

私は小さい頃から塾に通ったことがありません。小学校から高校まですべて公立校です。親から勉強しろといわれた記憶はほぼありません。

10歳くらいまでは、のんびりと自由に育ち、毎日外で友達や兄弟と一緒に遊びまわっていました。外で見つけ出したクワガタを家で虫かごに入れて飼い、それを図鑑の知識と組み合わせて自由研究にしたりしました。

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また、毎日野球やバスケットボールなどをして遊びながら、応援する中日ドラゴンズの選手の打率や防御率などを計算したり、マンガ『スラムダンク』に出てくるバスケットボールの技術を練習しながら、どうやったらうまくなれるかといったことばかり考えたりしていました。

家にテレビゲームはないので、何かおもしろいことはできないかと考えては遊ぶ毎日の繰り返しです。子どもらしい毎日ですが、自分が好きなこと、気になったこと、興味を持ったことをじっくりと自分で考えて取り組む生活でした。

早くに母が他界し、アルバイト生活

10歳になって、母が癌になって療養生活が始まり、12歳で他界しました。その頃から、人はなぜ死ぬのか、限られた期間のなかで生きる意味ってなんだろうか、といったことも考えるようにもなりました。家計を支えるために新聞配達も始めました。

高校生になると、父親も途上国への慈善活動のために家からいなくなり、アルバイトをしながら自分と妹だけで自活する生活になりました。家がかなり貧乏で、光熱費の請求にも困るくらいでしたから、なんで我が家はこんなに貧乏なんだろうと疑問に思ったり、将来のことに悩んだりしました。

生活費のために毎日アルバイトをしていたので、塾に通うことはありませんでした。どちらかというと、「なんで勉強なんてしないといけないんだ」と、世の中の常識に対して斜めに構えていました。

満天の星空に好奇心が爆発

そんな折、友人や先輩たちと全国のキャンプ地を旅する機会がありました。北海道のキャンプ場で見た満天の星空と壮大な夕焼けの美しさに心を奪われ、「何十億年も前に放たれたはるか遠くの星の光が、いまこの瞬間自分に届いているってどういうことなんだろう?」「宇宙の果てはあるのか、どうやって始まったんだろう?」「いつもは青い空が夕方に太陽が沈むと、こんなに赤く染まるのはなぜなんろう?」そんな疑問が次々と湧き上がり、自分のなかの好奇心が爆発する感覚を覚えました。

それから、図書館に通うようになって、宇宙物理学から哲学の本、それに『竜馬がゆく』などの歴史小説も読むようになりました。天文学や宇宙物理学に興味を持つようになったことと、明治維新のように、世の中をよくするために社会を変えるリーダーになりたいという曖昧だけど強い想いが湧き立って、「東大に行きたい」というはっきりとした目標ができました。私が猛烈に勉強するようになったのはそれからです。高校3年になる前の春でした。

自分なりに見出した決めた道だからこそ最後までやり抜く

誰かに押し付けられたものではなく、自分自身が好奇心の赴くままにセカイを見つめ、自分なりに見出した道や生き方を貫くことで、いったん決めたことは最後までやり抜く力を身につけていったのだと思っています。それは、他人から見ると、亀のようにゆっくりとした歩みだったかもしれませんが、自ら学び続けるという少しずつだけど着実な成長があったからこそ得られた力でした。 

親から好奇心の芽を摘まれずに、自らも様々な機会を通して好奇心を刺激し、そこから湧き出るものを力に変えていったからこそ、現在の自分があります。お金がなく塾にも通わず一年間の独学で東大に合格したことも、英語が苦手でも日本を飛び出してハーバード大学院に合格したことも、その原動力は好奇心だったと断言できます。

小さい頃の自分と同じように、様々な困難に直面する子どもたちを支え、子どもたちの可能性の扉を開きたいという一心で、「子ども第三の居場所」を全国に500拠点つくるという現在の日本財団の仕事に邁進していることも、やはり好奇心や幼少期の体験が原動力となっています。

 

好奇心は内から湧き出る学びのエンジン

好奇心は、内から湧き出る学びのエンジンです。一度火をつければ、他人が止められないくらいの力を発揮します。自らの内にエンジンを搭載するのか、いつまでも他人から押してもらわないといけないクルマ(つまりおもちゃのクルマ)に乗っているのかの違いです。

全ての教育プログラムや塾が用意されている高校卒業までは、他人に押してもらっていてもその差に気づきにくいかもしれませんが、大人になれば、エンジン搭載の「自動車」なのか、おもちゃのクルマなのかで、月とすっぽんくらい大きな差が生まれるのです。

変化のスピードが激しくなり、AIが社会に普及していくなかで、既存の知識よりも新たな発想や常に学び続けることが求められる時代になっています。学びのエンジンとなる「好奇心」は、これからの時代において欠かせない、非常に重要な力になるといえるかと思います。
(※本記事は『好奇心を伸ばす子育て』が抜粋編集して掲載しています。)

 『好奇心を伸ばす子育て』もご一読いただけましたら幸いです。

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”長く読む”文庫カルチャー~『最強の暗記術』文庫化にあたって

私は昔から文庫が好きです。


学生時代にお金がなかった頃、価格的に入手しやすい文庫本を中心によく読んでいました。古本屋でかなり安くなっている文庫も多く、まとめ買いして読んでいました。大学生の4年間で約1000冊読んだ本のうち、300冊くらいは文庫本だったと思います。文庫になっている本の多くは、長く読まれ続けているようなロングセラーで、いわゆるその分野で古典といわれるものが多いです。

 

私の座右の書は、内村鑑三の『代表的日本人』(岩波文庫や、童門冬二の『小説 二宮金次郎』(集英社文庫などですが、これらも文庫本になっています。東大で1番読まれた本としてロングセラーとなり、私自身も愛読してきた外山滋比古の『思考の整理学』(ちくま文庫も、やはり文庫です。 

代表的日本人 (岩波文庫)

代表的日本人 (岩波文庫)

 

 
そんな大好きな文庫の一角に、この度、拙著『最強の暗記術』(大和書房)もラインナップすることになりました。2018年に単行本が出版されて以来、たくさんの方々に読まれ続けていただいているからだと思います。より安く、より入手しやすく、より長く読んでいただける文庫になったことで、より多くの方にこの本の内容が届くことを願っています。

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本著のPart.3<暗記3.0>で、自分が生涯にわたって大切にする座右の書を1年に1度は読み続けることで、その内容が頭のなかに暗記され、血肉化され、人生を切り拓く力になるということを書きました。
 
『最強の暗記術』も、実は座右の書にしていただきたいくらい、長く何度も読んでいただきたい本です。

資格や語学、受験などで結果を出したいときに、その都度読み返して、<暗記1.0>を具体的に実践することができます。

またビジネスや様々なシーンでも、暗記をアウトプットに応用実践するための<暗記2.0>は、時代が変化するにつけ、益々重要になってきています。

そして、夢を叶えるための長期的暗記術である<暗記3.0>は、まさに生涯にわたって意識していただきたい内容です。


暗記という本のジャンルがあるとしたら、『最強の暗記術』は「暗記の古典」として長く読み継がれてほしいという強い想いをもって書いた本です。勉強に悩む子どもや学生が、そもそもの勉強の仕方、暗記の具体的なテクニックを学ぶ本として。あるいは、実践的なアウトプットが求められるビジネスパーソンが、暗記術をどのように応用実践するかを考えるヒントとして。そして、暗記という人間のもつ力を使って、人生を豊かにし、夢を叶えるための生涯の糧として。


最強の暗記術は、一度読んで終わりの本ではありません。ぜひ一つ一つの内容を、実際に読者自身が実践してみていただきたいです。そして、インプットとアウトプットを繰り返し、生涯にわたって暗記術を駆使し、学び続け、目標を達成し続けてください。そして、あなた自身の夢を叶える一助としてください。


為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり。

(『最強の暗記術』文庫版発行「おわりに」から一部編集して転載)

最強の暗記術 (だいわ文庫)

最強の暗記術 (だいわ文庫)

  • 作者:本山 勝寛
  • 発売日: 2021/02/12
  • メディア: 文庫
 

 

パックンが幼少期の貧乏生活を語った『逆境力』が素晴らしい件

パックンことお笑い芸人のパトリック・ハーランさん。

ハーバード卒で日本語が上手、軽快なトークでテレビで活躍するイケメン芸能人というイメージが強いと思います。

そんなパックンが日本の子どもの貧困問題について取材した本を出しました。しかも、自身がひとり親家庭で育ち、貧しかった頃の体験を大っぴらに語り、「当事者」として発信をした本です。

『逆境力〜 貧乏で劣等感の塊だった僕があきらめずに前に進めた理由』です。

この本、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

パックンは10歳から新聞配達を始め、かなり貧しい生活を送ってきたそうです。

早朝の新聞配達アルバイトは大変だったけれど、毎朝、母と一緒に早起きし、配達の準備をして、まだ空が暗いうちにお互い「いってらっしゃい」と言って家を出る。これは僕にとって宝物のような思い出です。

でも、周りの友だちと同じように遊べないことが悲しかった。すぐそばにある「何の変哲もない、豊かな暮らし」が見えてしまうことが恨めしかった。

友だちに遊びや食事に誘われても、おいそれとは行けません。お金が足りなくなるかもしれないから。

でも恥ずかしくて「お金がないから行けない」とは言えませんでした。

あまり知られていなかった事実ですね。貧しさや母子家庭ゆえに、いろんなことを我慢したり、コンプレックスに感じたりもしたけれど、逆境を力に変えて乗り越えてきた。そして、お母さんや近所のおじさん、おばさん、学校の先生、教会の人たち、様々な人に助けられて育ってきた。そこには開き直りがあり、明るさがあり、なぜだか楽しささえ感じられます。

 

そして、貧困の「当事者」だったからこそ自然に生まれてくる共感力で、いまの日本の子どもたちの現状と必要な支援の取り組みについて、本質を分かりやすく伝えてくれています。

「いいな、あの人たちは。それに引き換え自分は・・・」と悲しくなり、階級に流動性がないと感じると「どうせ自分はこのままだ」と意欲をなくしてしまう。

たとえ「屋根があり、電気、ガス、水道が通っている家」に住んでいても。(中略)

周囲との比較で「自分は貧しい」という不幸感に苛まれる。

そんな先進国に特有の「相対的貧困」にも、僕たちは、しっかりと目を向けるべきだと思うのです。

 

先進国の相対的貧困という見えづらい問題を、まさに当事者である子どもの心境の視点から伝えているのです。

 

実は私も、「子ども第三の居場所」事業を推進する日本財団子どもサポートチームとしてパックンにこの本の取材を受け、対談をさせていただきました。子どもたちの現状や必要な支援策、同じく貧しかった私自身の経験も語らせていただいています。

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パックンは人の話を聞き出して、本質を分かりやすく伝えるのがとても上手です。さすがテレビのコメンテーターやコミュニケーションの大学講師を務められているだけあります。

そして、貧しいひとり親家庭で育ち、たくさんアルバイトをしてハーバードに、という点でもパックンと私の間には共通点があり、考え方もすごく近くて共感しました。

日本の子どもたちが抱える課題を浮き彫りにしつつ、具体的な対策を丁寧に紐解き、絶望ではなく希望をやさしく届け、未来に向かって少しずつでも前進していくことを示した良書。

『逆境力』ぜひ読んでみてください。