本山勝寛 SNSフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

4回育休5児の父が考えた「男の育休」を増やす方策

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「男の育休」について書きたいと思います。

 私は7年前の第二子出産の際に、職場で男性として初めて育児休業を取得しました。以来、4回にわたって育休を取得しています。出向もしているので、二つの職場で、一般職としても管理職としても経験しました。おそらく、男性の育休取得回数としては日本で最多かもしれません。

 

とはいえ、初めて育休を取ったときも、その後何度経験しても、職場でそのことを告げるときはかなり不安で、ドキドキしながら相談しています。事前に法律や制度、過去の事例や経験談などを調べたり、所属先の育児休業規程を熟読したり、育休期間中になくなる給与マイナス分と給付金のシミュレーションをしたり、いろいろと準備をします。

 

特に初めて取るときは、職場でも前例のなかったことなので、根回しを念入りに行いました。直属の上司だけでなく、組織のトップである会長からはじまって、関係する役員や管理職に一人一人直接話に言って、相談をするというかたちで根回ししました。もちろん、不在時に仕事が回るように、抱えている業務をチームのメンバーたちと共有することを、かなり意識して心がけました。

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私の育休後には、職場でも2人目、3人目と男性職員が育休を取るケースが増えてきています。誰かが初めて挑戦し、それが既成事実化することで、組織の文化が少しずつ変わっていくのだと思います。日本では、男性の育休はまだまだ少なく、取りにくい文化が根強く残っているので、なるべく自分の経験を社会に発信するように心がけています。

 

日本社会が、男性でも女性でも、正規雇用でも非正規雇用でも、当たり前のように育休を取得できるようになり、かつ生産性を高めることで、ワークもライフも充実させられる文化ができることを願ってやみません。

 

日本において男性の育休取得がもっと増えるための方策は具体的に何があるのでしょう。

まず、男性の育児休業取得率を都道府県別でみてみると、圧倒的に広島県が高い。2007年度の男性育休取得率は0.6%だったのが、2012年度は7.2%に急増している。その間、2010年度に湯崎英彦知事自身が知事として全国で初めて育児休業を取得し、さらに男性社員の育休取得者1人あたり最大30円の奨励金を中小企業に支給する制度を創設したことが要因の一つと考えられる。多くの中小企業は、男性社員が育休を取るような余裕がないというのは実情だろうから、そういった企業への奨励金制度によって、企業側にも大きな不利益にならないようにすることは効果的だ。ぜひ他の自治体も導入を検討していただきたい。ちなみに、広島県の2014年の合計特殊出生率は1.55と全国12位で、人口100万人以上の旧政令指定都市を抱える都道府県のなかでは、1.46の愛知県や福岡県はおさえて1位だ。

広島県は中小企業の奨励金制度を導入したが、大企業については、男性の育休取得率の公表を義務化あるいは奨励するとよい。多くの企業では、女性の育休取得率や出産後の勤務継続率を公表し定着化しているが、男性については一部積極的な企業を除いてあまり聞いたことがない。政府は「13%」という目標を掲げており、目標達成のための具体的な行動計画が必要だ。

もう一点は、育児休業中の各家庭の給与の問題だ。大抵の場合、家計の柱になっている父親育児休業を取得すると、家計が厳しくなる。2014年から育児休業給付金は以前の5割から3分の2支給(6ヶ月間まで)に増額され、この点は多少改善されたともいえ、今後の推移を見守りたい。ただし、月給だけでなく賞与も実質上は育休期間分が差し引かれることになる場合が多いので、私が以前から提言しているように、男性(または1人親の女性)の育児休業に限っては8割支給にまで増額することを提案したい。男性のみにしぼれば、対象となる母数も今のところ多くはなく、財源確保も可能なはずだ。

以上、1)中小企業への奨励金、2)大企業の男性育休取得率の公表義務、3)男性育休給付金の8割支給、これらの施策を大胆に推進することで、男性の育休取得が増える道筋が見えてくるのではないだろうか。少子化対策は、国家の存亡を左右する待ったなしの緊急課題だ。あらゆる政策を動員し解決していかなければ、子どもたちに破綻した日本社会を残してしまうことになりかねい。

育休については、私もこれまで4回も経験してきたので、いろいろと考えてきました。過去の記事もご参照ください。

motoyamakatsuhiro.hateblo.jp

 

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