まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもサポートTチームリーダー兼人材開発Tチームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

パックンが幼少期の貧乏生活を語った『逆境力』が素晴らしい件

パックンことお笑い芸人のパトリック・ハーランさん。

ハーバード卒で日本語が上手、軽快なトークでテレビで活躍するイケメン芸能人というイメージが強いと思います。

そんなパックンが日本の子どもの貧困問題について取材した本を出しました。しかも、自身がひとり親家庭で育ち、貧しかった頃の体験を大っぴらに語り、「当事者」として発信をした本です。

『逆境力〜 貧乏で劣等感の塊だった僕があきらめずに前に進めた理由』です。

この本、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

パックンは10歳から新聞配達を始め、かなり貧しい生活を送ってきたそうです。

早朝の新聞配達アルバイトは大変だったけれど、毎朝、母と一緒に早起きし、配達の準備をして、まだ空が暗いうちにお互い「いってらっしゃい」と言って家を出る。これは僕にとって宝物のような思い出です。

でも、周りの友だちと同じように遊べないことが悲しかった。すぐそばにある「何の変哲もない、豊かな暮らし」が見えてしまうことが恨めしかった。

友だちに遊びや食事に誘われても、おいそれとは行けません。お金が足りなくなるかもしれないから。

でも恥ずかしくて「お金がないから行けない」とは言えませんでした。

あまり知られていなかった事実ですね。貧しさや母子家庭ゆえに、いろんなことを我慢したり、コンプレックスに感じたりもしたけれど、逆境を力に変えて乗り越えてきた。そして、お母さんや近所のおじさん、おばさん、学校の先生、教会の人たち、様々な人に助けられて育ってきた。そこには開き直りがあり、明るさがあり、なぜだか楽しささえ感じられます。

 

そして、貧困の「当事者」だったからこそ自然に生まれてくる共感力で、いまの日本の子どもたちの現状と必要な支援の取り組みについて、本質を分かりやすく伝えてくれています。

「いいな、あの人たちは。それに引き換え自分は・・・」と悲しくなり、階級に流動性がないと感じると「どうせ自分はこのままだ」と意欲をなくしてしまう。

たとえ「屋根があり、電気、ガス、水道が通っている家」に住んでいても。(中略)

周囲との比較で「自分は貧しい」という不幸感に苛まれる。

そんな先進国に特有の「相対的貧困」にも、僕たちは、しっかりと目を向けるべきだと思うのです。

 

先進国の相対的貧困という見えづらい問題を、まさに当事者である子どもの心境の視点から伝えているのです。

 

実は私も、「子ども第三の居場所」事業を推進する日本財団子どもサポートチームとしてパックンにこの本の取材を受け、対談をさせていただきました。子どもたちの現状や必要な支援策、同じく貧しかった私自身の経験も語らせていただいています。

f:id:theternal:20210211070215j:plain

 

パックンは人の話を聞き出して、本質を分かりやすく伝えるのがとても上手です。さすがテレビのコメンテーターやコミュニケーションの大学講師を務められているだけあります。

そして、貧しいひとり親家庭で育ち、たくさんアルバイトをしてハーバードに、という点でもパックンと私の間には共通点があり、考え方もすごく近くて共感しました。

日本の子どもたちが抱える課題を浮き彫りにしつつ、具体的な対策を丁寧に紐解き、絶望ではなく希望をやさしく届け、未来に向かって少しずつでも前進していくことを示した良書。

『逆境力』ぜひ読んでみてください。