加藤コミッショナーと野球外交談議
現在、日本プロ野球のコミッショナーを務めている、前駐米大使の加藤良三氏のお話を聞いた。野球からアメリカ、日米関係の話まで興味深かった。
アメリカについては、(1)帰るべき神話的故郷がない。だから今を追いかける。擬似ロイヤー的な言動が目立つ半面、問題を解決する意欲と能力は世界でも抜きんでている。(2)全てのイシューが2つに分けられる。あれだけ多民族国家で多様社会なのに共和党と民主党の二大政党がずっと続いている。というような話だった。
野球についてはほんとうに好きなんだなということが感じられた。外務省でアメリカ組になったのも大好きな大リーグが観れるからだったそうだ。今はコミッショナーとして12球団13球場すべてを回り、精力的に野球人になっているそうだ。
私も野球好きとして、「日米の共通ソフトパワーである野球をサッカーに負けないくらい世界に普及させるにはどうしたらいいか?」という質問を投げかけてみた。興味深い話として、JICAでガーナに行っている方が、加藤氏に会いにきて、ガーナで野球を教えている話をしたそうだ。すると、男女ともにみんな喜々として野球をやりはじめ、けんかや争いがなくなって地域が平和になってきているという。その人の要望としては、監督や審判、グラブやバット、ボール職人を日本から派遣してほしいそうだ。野球はサッカーと違いお金がかかるスポーツだとよく言われるが、加藤氏は「最初はゴムボール一つで野球はできる。実はそんなにお金がかからない」と言っていた。野球を伝えることは日米ソフトパワーの向上につながるし、結果的には平和の促進にもなる。野球界と外務省、JICA、それに日本財団で面白いことができたらいいのだが。