TICAD(アフリカ開発会議)雑感
5年に1度、日本が主催するアフリカ開発会議TICADが閉幕した。
アフリカ支援に携わる日本のNGOとして日本財団がブース出展と代表スピーチというかたちで参加になったため、私もここ数日会場となった横浜を行き来した。3日間の会議の中で一番盛り上がったのはU2ボノのスピーチだった気がする。ボノが話している間、フラッシュは延々とたかれ続けていた。確かにボノはかっこよかったが、日本主催のアフリカ会議に、なぜイギリスのロック歌手が…という少しさびしい気持ちもした。
今回のTICADは洞爺湖G8サミットの前哨戦と、中国のアフリカ資源外交への対抗がからみあったなかで、日本政府は当初温暖化対策を中心に据えるような方向性から穀物価格上昇に伴う食糧危機対策にトーンが変わっていった。
全体を通して感じたことは、外務省中心の外交展開には限界がきていること。お世話になった外務省職員の方々には悪いが、今回の参加NGOに対するパス配布の不親切さに始まって、表明された支援内容に関する根拠の弱さ(財源確保や現場からの見地)も気になった。
本会議のスピーカーに立ったのはアフリカ各国の首脳以外では、日本からはJICA、JBIC、JETRO、住友化学、日本財団などだった。それぞれがそれぞれの立場でスピーチをするのは当然といえば当然なわけだが、「じゃあ、日本全体としてはこういう戦略でこういうパートナーシップをもってやっていきましょう」というような説明がなく、あれもこれもといった百花繚乱のイメージがぬぐえなかった。
さらには、農業支援も、政府はどうしても「ネリカ米」というアフリカ用に開発されたコメ支援をしたいようだが、22年間アフリカの農業開発をしてきた立場からすれば、コメを主食とするアフリカの国が53か国中たしか8−9カ国しかないことを考えると、片手落ちな話に感じられてならないそうだ。そういう点からも、どういったパートナーシップをもって、政府やJICAの支援はどこに位置づけられるのかを説明すべきだと感じた。
私は一端の広報マンとして走り回っただけの立場だが、どちらかというと「負」の面から、いろいろと学ぶことが多かった3日間だった。