人を育て、社会にイノベーションを起こしていく。
これが私自身の2019年のテーマです。
そこで、人材開発に関する著作を、まずは気になったものからざっと読んでみています。以下、7冊をご紹介します。
1) ワーク・ルールズ
グーグルの人事トップ(ピープルオペレーション担当副社長)が著したグーグル社の採用・育成・人事について。
グーグルがイノベーティブに成長し続け、かつ社員の満足度が高く、楽しく仕事ができる組織であり続けられている秘訣が披露されている。
どんなことも「人」を大事にすること、最高の人材を惹きつけることが組織発展の肝であることを再認識させられた。採用への力の入れようがすごい。人事制度についても経営層の感情論ではなく、エビデンスを重視して判断しているところがグーグルらしい。これからの人材戦略の最先端をいっている。
2) How Google Works
How Google Works(ハウ・グーグル・ワークス) 私たちの働き方とマネジメント (日経ビジネス人文庫)
- 作者: エリック・シュミット,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル,ラリー・ペイジ,土方奈美
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2017/09/02
- メディア: 文庫
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同じくグーグル本だが、こちらはCEOのエリック・シュミットによる著書。人材戦略が単に人事が行うことではなく、経営トップが強く意識し、力を注ぐべき中核事業であること、また、これまでのMBA的発想を超えた人材戦略と、スマートクリエイティブに自由を与えるという徹底した文化がグーグルの驚異的成長を支えていることを確認できる。
3) 隠れた人材価値
隠れた人材価値 (Harvard Business School Press)
- 作者: チャールズオライリー,ジェフリーフェファー,長谷川喜一郎,Charles A.,3 O’Reilly,Jeffrey Pfeffer,広田里子,有賀裕子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2002/03/20
- メディア: 単行本
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グーグルだけでなく、どの業種でも長期的に成長し続けている企業は人材を非常に大切にしているという共通点をもつ。また、最優秀エリートを集めているだけでなく、人材は多様でも、その企業のコアとなるバリュー価値観を大切にし、それを組織文化、行動様式、人事制度、事業展開に落とし込んでいる。人を大切にし、長期的視野を持つ組織が成長し続けることを確認できる。
4) ビジョナリーカンパニー2、ビジョナリーカンパニー特別編
- 作者: ジェームズ・C・コリンズ,山岡洋一
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2006/06/22
- メディア: 単行本
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偉大な組織への飛躍は、何よりもまず 「最初に人を選ぶ」こと。適切な人を主要な席につけることから始まる。企業でも非営利法人でも同じことがいえる。
5) チームのことだけ考えた。
チームのことだけ、考えた。――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか
- 作者: 青野慶久,疋田千里
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2015/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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日本企業、それも大企業ではなく数百名規模の企業の事例をと思って、サイボウズの青野社長の著書も読了。典型的なITベンチャーとして、働きまくって離職率も高い(28%)という初期の段階から、役員陣によるビジョナリー合宿で誰もが共有できるビジョンを明確化し、ビジョンを軸にチームをつくり、組織のコアとした多様性をテーマに人事制度もつくりなおしたプロセスが描かれていてる。結果的に離職率は4%に低下し、社員のモチベーションアップが向上、副業OKやテレワーク、育休6年など特徴的な人事制度がメディアにも多く取り上げられ、企業規模以上の知名度や採用力向上につながっている。外国企業でなく日本企業でもこういった人材戦略が可能なのだということを感じさせてくれる一冊。
6) 複業の教科書
サイボウズでも実践されているが、これからの時代、優秀な人材を惹きつけるには、制度で縛り付けるのではなく、いかに才能ある人材に自由を与え、さらに社外でも人脈や経験を広げる機会をつくるかも鍵になる。日本でも副業解禁の波が起きつつあるが、自身もリクルートで副業/複業の経験を持ち、HRや複業コンサルティングで独立された西村創一郎さんの著書。
私は今後、企業の複業解禁と人材不足のNPO/公益法人のマッチングがうまく進めば価値ある動きになると思っています。
7) これからの「できる課長」の条件
上記の著作がどちらかというとこれからの新しい時代に即した人材戦略であるのに対して、マネジャーとして課長の役割の基本を整理した著書。著者からの献本で読ませていただいた。マネジャーが具体的に何をすべきか、わりと体系立てて振り返る機会は少ないので、具体的な基本をおさえる教科書的な本。
共通していることは、人を最優先に大事にすること。そして、口先だけではなく、組織全体に浸透する文化をつくり、制度を日々運用改善していくこと。経営トップが人材戦略を重要視し、人事部門だけでなく全マネジャーが同様に人材開発を職務として取り組むこと。ここら辺が肝になること再認識させられた。