昨日10月6日、日本財団で新しく始めた「これも学習マンガだ!〜世界発見プロジェクト」の事業概要と選書100作品の記者発表を行った。新しい世界を発見できるマンガや学びにつながるマンガを選出・発表し、作品を国内外の読者に届ける事業で、マンガの持つ「楽しさ」「分かりやすさ」「共感力」に着目し、社会をより良いものにしていくことを目的としている。マンガを通じて、「楽しみながら学ぶこと(edutainment=education + entertainment)」を継続的に推進していく予定だ。
今回はその第1弾ということで、既存のエンターテイメント作品のなかから、「これも学習マンガだ!」の「も」を強調した切り口で、新しい世界を発見したり、学びにつながるようなおススメの100作品を監修・選書委員に選んでいただいた。委員には、『天上の虹』等の作者でマンガ家の里中満智子氏、ポップカルチャーや知財戦略などで政府の委員も務める慶應大教授の中村伊知哉氏、トキワ荘プロジェクトディレクターの菊池健氏、『宇宙兄弟』など編集者として数々のヒット作品を手掛けたコルク代表取締役社長の佐渡島庸平氏、漫画文化論を専門とする明治大学国際日本学部教授の藤本由香里氏、毎日新聞デジタルMANTANWEB編集長の細田尚子氏、マンガナイト代表の山内康裕氏、米沢嘉博記念図書館のヤマダトモコ氏と、マンガにかかわる各分野で第一線の方々に協力いただいた。私も選書委員として加わらせていただいたが、選書過程そのものが、まさに「楽しい学び」のプロセスだった。
選びに選び抜かれた100作品は、以下の特設サイトに、各委員の想いの込められた推薦コメントつきで紹介しているので、ぜひご覧いただき、読んでみていただきいたい。
gakushumanga.jp
作品の扱うテーマも多岐にわたり、文学、生命と世界、芸術、社会、職業、歴史、戦争、生活、科学・学習、スポーツ、多様性の11ジャンルに分けて紹介している。学校の授業の科目も意識したジャンル分けだ。学校の図書館にこんな作品がそろっていたら、学校の副教材にこういったマンガ作品が活用されたら、どんなに楽しい学びになるだろう。現代日本人は「勉強はつまらないけど我慢してやるもの」なんて固定概念にとらわれているけど、本来は何かを学び、新しいことを知ったり、発見したりすることはめちゃくちゃ楽しいことだ。この事業を通して、学びの楽しさ、楽しい学びが、もっともっと見直されることを目標としている。
拙著『マンガ勉強法』のなかでも書いてきたが、私自身は高校時代にマンガ『お〜い竜馬!』を読んで、その後に初めて活字の本である小説『竜馬がゆく』を読破して、本が大好きになり、歴史にはまり、新しい世界が開けた。人生が変わった一作品でもあった。最近紹介した「京大3兄弟の強烈オヤジ」の例でも、同じプロセスをたどっていたことを知り、マンガから入る学びは、これからの楽しい学び、Edutainmentの王道コースなのではとも思っている。
100作品のうち、私が推薦コメントを寄せた作品をこちらでも紹介するので、ぜひ読んでみていただきたい。必ず新しい世界が開けるはずだ。
※追記
「これも学習マンガだ!」は2回選書を追加し、200作品が選ばれている。全国の図書館にも配架の参考とされることが多く、図書館へのマンガの普及に貢献しているようた。
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