- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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今日は8月6日。
広島に原爆が投下され、10万人以上の方が命を失い、後遺症も含めて多くの方々が被害を受けた日だ。今年で72回目を迎えるわけだが、日本人として忘れてはいけない、語り継ぐべき日だ。
そんな広島や原爆被害のことを、静かに、真摯に考えさせられる名作のマンガがある。こうの史代氏の『夕凪の街 桜の国』だ。日本財団「これも学習マンガだ!」で100選にも選ばれ、私も選書委員として以下のコメントを寄せた。
原爆が、70年前、この国に落ちた。
町が一瞬で破壊され、多くの人が亡くなった。
この作品では、原爆被害の悲惨さを直接描くのではなく、時が何年も経って、その日を忘れたくても忘れられない人と、その家族の視点から見つめている。
人として当たり前に生きる日常の静かな風景。そこには、笑いも、楽しみも、夢も、愛する気持ちもある。その静かな日常のなかに残る傷あと。家族との死別、後遺症、重たい記憶、生き残ってしまったことへの罪悪感、被爆者と家族への差別。
原爆は怖い、悲惨だと表現するかわりに、その重たいかなしみと共に生きる一人ひとりの姿を描く。そうして、静かに、読者である私たちに訴えてかけてくれる。
うつくしく、かなしく、静かで、力強い作品。
日本中の全国民に、そして世界中の人々に読んでほしいマンガだ。
本山 勝寛(日本財団)
「これも学習マンガだ!」を発表して以来、全国の学校や公共図書館から問い合わせが多数届き、図書館に置かれる動きも出てきた。ぜひ、日本全国の学校で子どもたちに読んでほしい。いまは夏休みだが、読書感想文にするのもよいだろう。マンガを読書感想文にしたって、誰もが原爆について、戦争について考えるきっかけになる。
- 作者: こうの史代
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著者であるこうの史代の別作品の『この世界の片隅に』は、ドラマ化やアニメ映画化され、大きな話題になった。そちらも、戦時中の「日常」を静かに美しく描いた名作だ。
『夕凪の街 桜の国』と合わせて、老若男女問わず、すべての世代にお薦めしたい読み継がれるべきマンガだ。
※この記事は2016年8月6日の記事を追加編集してアップしたものです。
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- 作者: 本山勝寛
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2012/10/19
- メディア: 文庫
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