本山勝寛 SNSフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

LINEは日本発?韓国発?

日韓両国の摩擦がいろんな所で起きているという報道が目立つ。慰安婦、サッカーサポーターの横断幕、呉善花氏入国問題、挙げるとキリがないほどだ。日韓問題はいわばメディアにとってもおいしいネタ化してしまっているようだが、ここではちょっと変わった切り口から日韓について考えてみたい。最近、世界でユーザー数2億人を突破したという絶好調のLINEについてだ。このニュースの報道の仕方が、内容はほぼ同じなのに、一点だけ日韓で全く異なるのである。

まずは、東洋経済オンラインの記事。

日本発の無料通話・メールアプリ「LINE(ライン)」の勢いが増している。7月21日、登録ユーザー数が2億人を突破した。2011年6月にサービスを開始し、13年1月には1億人に到達。それからわずか半年でユーザーが倍増した。これはフェイスブックツイッターといった世界的なネットサービスの普及スピードを凌駕する。

次に韓国系の聯合ニュースの報道。

"ネットも「韓流」 韓国開発のLINEが世界で旋風"
韓国のインターネットサービス大手NHNの日本法人が運営するスマートフォン(多機能携帯電話)向け無料通話・無料メールアプリケーション「LINE(ライン)」が世界で旋風を巻き起こしている。
 2011年6月にサービスを開始してから25か月で登録ユーザー数2億人を超えたLINEはアジア市場を席巻したのに続き、欧州と南米でも急成長している。専門家らはコンテンツ競争力とアジア市場での人気を基に、今後も急成長を続けると評価している。

そう。同じ内容ても、日本側は「日本発」、韓国側は「韓流」や「韓国開発」という言葉を使っているのだ。確かに、LINEを開発したLINE株式会社(当時はNHN Japan)は日本にある会社なので、日本発という表現はあながち間違いではない。ただ、LINE株式会社が韓国大手NHNの100%子会社であることも事実であり、資本からすれば韓国ということになる。開発チームも多くが日本人とのことだが、その発端となる声掛けをしたのはLINE株式会社取締役会長で韓国出身の李海珍氏だという話もある。

はっきり言ってどうでもいい話で、日本発とか韓国発とかメディアが強調しなければよいし、どうしても書きたいなら、「韓国NHNが出資する日本のLINE株式会社が」とすればよいだけのことだ。事実をみれば、日韓共同のプロジェクトだと捉えることもできる。人気取りに忙しい政治やメディアでは日韓の間に絶望的な溝があるとしたいようだが、ビジネスや一般国民の間ではそんなに大袈裟に騒ぐほどでもないというのが実像ではなかろうか。

私もお世話になっているブロゴスもLINE株式会社が運営しているわけだから、資本関係から言えば韓国系だ。それでも、反韓の記事が多く掲載されているし、コメントなんぞはヒステリックな嫌韓のものも多い。それでも掲載しているところに、ブロゴスというかNHNの度量の広さと、LINE日本法人の独立性、そしてこの会社がビジネスで成功している要因が感じられる。徹底した現地化はビジネスの鉄則だと言えよう。

韓国企業は実利と生き残りをかけて、各地で現地に合わせたビジネスを展開している。一方で政治家は人気取りという私利のために反日に走りやすいわけだが、そのつけは自国企業や国民にはね返ってくるのだから、少しは企業人にならってほしいものだ。