IQ,EQより重要なCQ=好奇心・創造力指数を伸ばすには子育てがもってこい
IQ(知能指数)よりもEQ(こころの知能指数)が重要だという話が一時期流行していたが、最近、新たな指数が注目されているのをご存じだろうか?
ずばり、「CQ」である。
CQは実は、人によって使い方が異なる。
最近、TIME誌が「最初はIQ、次にEQ。だけどCQが最も重要?」という記事で「Creativity Quotient(創造力指数)」という概念を、『Creative Intelligence』という本の著者インタビュー記事として紹介している。
他には、日本でもベストセラーになったトーマス・フリードマンの『フラット化する世界』では、フラットな世界ではIQよりも重要なのが、CQ(「Curiosity Quotient: 好奇心指数」)とPQ(「Passion Quotient: 熱意指数」)だという主張がなされている。
- 作者:トーマス・フリードマン
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: 単行本
つまり、創造力と好奇心ということでCQが使われているわけだが、他にも「Communication Quotient(コミュニケーション指数)」や「Cultural Quotient(文化指数)」といった使われ方もある。さらに、これらを包括する概念として次のような使われ方が個人的には面白いと思った。「Children Quotient(子ども力指数)」だ。米国の著名コンサルタントであるアラン・グレジャーマンが著書『人はみな「ビジネスの天才」として生まれる』の中で提唱している概念で、ビジネスで成功するためのヒントは子どもから得られるとし、本来誰もが子どもの頃に持っている以下の13の力が重要だということを述べている。
- 遊ぶ力
- 熱中する力
- 焦点を絞る力
- 急がせる力
- リーダーシップをとる力
- 驚嘆する力
- 好奇心を抱く力
- 質問する力
- 挑戦する力
- 創造する力
- 参加する力
- 居心地を良くする力
- やり遂げる力
この概念には、上述の創造力や好奇心、熱意も包含されている。また、遊ぶ力や驚嘆する力、質問力、挑戦力なども、インターネットが普及しあらゆる情報にアクセスしよう思えばできる現代社会において、非常に重要だという意見には納得がいく。
さらに面白いのが、これらの力は子どものときに誰もが持っていたという観点だ。実際、私も2児の親として、子どもたちがこれらの力を自分なんかよりずっと持っていることに日々驚嘆している。さらに、大人社会に揉まれるなかで失いかけていた好奇心や創造力、遊ぶ力が、彼らと一緒に過ごすことで、際限なく刺激され、活性化されているのだ。
グレジャーマン氏が主張するように、現代においてより重要な能力となってきたCQは、子ども時代のことを思い出すことによって、あるいはCQの高い子どもたちと接し、そこから得られるヒントや姿勢をビジネスに活かすことによって高めることができる。例えば、ゼロックスやヒューレット・パッカードは7歳の子ともにフォーカスを当てるプロジェクトグループをつくり、子どもたちが同社の製品に持つ印象を調べ、そのフィードバックをビジネスコンセプトにいかしているという。また、コカ・コーラやデュポンなどはChief Imagination(想像担当責任者)やChief Learning(学習担当責任者)といったポジションを置いている。米ラバーメイド社は会議後に博物館に行ったことで、新しい発見があり、商品改良につながったという。多くの企業が子どもの持つ力をヒントに、既成の枠を超えて創造力を発揮しようとしているわけだ。
私が言いたいことは、「ビジネスマンはもっと子どもと接する時間を持ちましょう、そして、子どもと一緒にCQを高めましょう」ということである。そして、「何かおもしろいことはないかな?」「なんでそうなるんだろう!?」「すっげー!」といったふうに、子どもの視点に立って、世の中を見つめ直してみることだ。きっと世界の見え方が変わってくるに違いない。子育ては仕事にとってマイナスになるのではなく、むしろプラスになり得る。育児は自分自身を育てる「育自」でもある。EQにおいてもCQにおいてもだ。
前に「育休の価値換算は1200万円」という論評を書いたが、そのときは公立保育園にかけられる税金のコストから計算を行った。しかし、創造力や好奇心といったCQを高める学び(いわば「研修・留学」のような)の機会であるという観点からも、育児はビジネス力を伸ばし得る高い価値を秘めているのだということを主張したい。
- 作者:アラン・グレジャーマン
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/05/10
- メディア: 単行本