ノーベル医学・生理学賞を受賞し、話題になった大隅良典教授。インタビューや講演のなかで興味深いことを発言されていて、ほんとうにそうだと思った。
「(大人になると)だんだん知ったような気分になって、基本的な疑問みたいなものを忘れていく。若い人には、自分が疑問に思ったり、おもしろいと思ったことはとことんやってみようと、将来、そういう人たちが科学者になってくれると思う。」(NHKより引用)
(自分は)「知的好奇心から研究を続けられる幸せな時代を生きてきた」、「技術のためではなく、知的好奇心で研究を進められる大事な芽を大学に残してほしい。」(毎日新聞より引用)
役に立つかどうかの以前に、何かに疑問に思ったり、不思議に感じたり、「なんで?」と思う気持ちをとことん追究する「知的好奇心」が科学の発展の原動力となり、結果的にイノベーションにつながっているのだと思う。
大隅教授が子どもの頃、昆虫採取にはまっていたエピソードも多く報道されていた。虫の不思議な生態に純粋に興味をもって観察したり、どういったところに生息しているのか研究し捕まえたり、育てたりすることが、好奇心を育て、物事を探求する力を養うのにつながっているのだろう。
大隅氏以外にも、ノーベル化学賞を受賞した白川英樹氏や福井謙一氏、「漫画の神様」手塚治虫氏、養老孟司氏や茂木健一郎氏も大の昆虫好きで知られている。拙著『一生伸び続ける人の学び方』では、そういった方々の昆虫採取のエピソードと好奇心の関係を紐解いている。
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昆虫採取をできる自然環境は減ってきているが、学びにおける「好奇心」はますます重要な時代になってきている。ITや人口知能の技術が発展すればするほど、既存の知識を記憶することではなく、新しいことに興味関心をもち、様々な角度から探求する力が求められる。好奇心は「CQ=Curiosity Quotient」として、IQやEQ(こころの知能指数」)に並んで注目され始めている。
大隅教授のメッセージのように、「自分が疑問に思ったり、おもしろいと思ったことはとことんやってみる」、そんな生き方のできる人が増えてくると、日本はもっとおもしろくなるのではないだろうか。
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