本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

2回目の育休前に「男の育休」を再考してみた

あと10日程で、第三子が産まれる予定だ。毎日ドキドキしながら日に日に大きくなる妻のお腹を見つめている。このお腹から奇跡の産声があがると同時に、育児休業(育休)に入ることになる。第二子に続いて2回目の育休だ。

私は第二子の誕生の際に育休を2ヶ月間取得した。イクメンブーム真っ盛りの頃だったが、職場で初めての男の育休だったため、上司に話を切り出すのに悩み悩んだ記憶がある。社員100人程の小さな組織なので、直属の上司からトップにまで一人一人相談して許可を得て回った。業務も上司や後輩とできるだけ共有し、半年間かけて引き継げる体制をつくっていった。結果、たった2カ月でも生涯忘れられない黄金の期間になった。職場の上司や同僚には迷惑をかけたと思うが、後輩の成長が見れたことは組織としてもプラスになったのではないかと思っている。

今回の育休は1カ月を予定している。前回は、第一子が就園前の遊びたい盛りだったため、上の子と遊ぶことが主な仕事だった。自転車で都内中の公園を連れ回し、30箇所くらい回ったと思う。子育て支援センターにも行き、ママさんたちとも会話し、地域のことにも関心がいくようになり、多くの発見があった。もちろん、産まればかりの赤ちゃんのオムツを替えたり、毎日沐浴をさせたり、ご飯をつくったりもした。子育ての大変さの一端を実感したことで、育休以降も家事育児に前よりは積極的になれたと思っている。

今回は上の子二人が既に就園しているのと、抱えている大きな仕事があったため、育休を取るかどうか直前まで悩んだ。出産直後の妻の入院期間は少なくとも上の子たちをみなくてはならないが、1〜2週間なら有給でも休むことは可能だった。貯金もあまりないので、育児休業給付金が給料の5割出るといっても経済的にきついことはきつい。ただ、やっぱり男の育休修得がもっと広まってほしいし、男が育児参加することで、子どもも母親もより幸せになる社会になってほしいという想いがあった。全くの微力ではあるが、社会がもう少し前進すれば、そんな気持ちが今回の育休の動機の一つでもある。もちろん、産まれてくる赤ん坊と、上の子どもたち、そして3人も子どもを産むという大仕事をしてくれる妻、そして子どもたちが大好きな自分自身のためでもある。育休を取って、まとまった期間子どもたちと向き合える機会なんて、人生に何度もない。もしかしたらこれが最後かもしれない。せっかくの機会を逃したくなかった。

男の育休取得率は2010年の1.36%から2011年には2.36%と過去最高値を記録した。とはいえ、まだまだ少ないのが現状だ。厚労省の調査(2008年)によれば、育休を利用したいと考える男性は31.8%(アンケートによっては80%以上)だという。多くの男性は取りたくても躊躇しているわけだ。そんな中、広島県では1.2%から4.6%に急上昇した。県知事自ら育休を取ったことに加え、男性従業員が育休を取得した企業に県から奨励金(10万円〜30万円:期間と1人目/2人目による)を支給する制度を導入したことも大きい。さらに、県の出生率も2004年の1.33を底に上昇し、2011年は1.53に達したという。全国で12位、政令指定都市を抱える都道府県では1位だ。

とはいえ、育休の必要性を感じないという男性も多いようだ。妻が産休(と育休)を取るので、夫まで取る必要はないという考えだ。しかし、出産直後の産じょく期といわれる6〜8週間は、母親は安静にした方がよく周囲のサポートが絶対的に必要だ。そういう事情から、第一子出産の約7割が里帰りし親の助けを得ているわけだ。もちろん、里帰りは妻には過ごしやすいかもしれないが、父親として我が子の成長著しい赤ちゃんの姿を直に見れないことは、まさにもったいない。せめて産じょく期の1〜2ヶ月間、男も育休を取得する文化ができればと思う。さらに、妻が育休後復職する場合は、子どもを保育園に入れ、慣れない大変な期間の1〜2ヶ月間、夫が育休を取るということも考えられる。いわゆる「パパ・ママ育休プラス制度」を使えば、最長1歳2カ月まで育休が取れる。

男の育休取得が伸びないのは、経済的な面も大きい。日本では大抵の場合、夫の方が妻よりも給料が高いので、育休を取った場合の経済的デメリットが大きいからだ。前にも書いたが、育休給付金は男性(またはシングルマザー)が取った場合は給与の5割といわず8割くらいに割増せば、男の育休取得率と取得期間も伸びるのではないだろうか。男の育休について、もっと議論が進み、制度が充実し、社会が前進することを願いたい。

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