本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

教育大学院とは〜ハーバードHGSEと日本の教育改革の鍵

僕は

“Harvard Graduate School of Education(HGSE)”というところに所属しています。

ハーバードの外国人学生にはEd School、日本人にはSchool of Educationとか教育大学院というふうに言っています。

そして専攻は、
“International Education Policy(国際教育政策)”です。

ハーバードのアメリカ人には、大体それで何をやっているのか通じるのですが、一般のアメリカ人や日本人(ハーバード生でも)には、いったいその大学院が何なのか、なにをやっているのか理解してもらえません。
というより、「そんな大学院があったの?」という反応をいただきます。(最近は、今年8人入学した日本人教育大学院生によって、ハーバード日本人コミュニティ内でもだいぶプレゼンスがあがっているような気がしますが。)

そして、だいたい皆さん
「じゃあ、先生になるの?」
と聞いてきます。

「School of Educationとは何か?」
僕なりの答えを述べるとすれば、「教育の専門性を、理論・実践の両方から向上させるための大学院(修士・博士)」だと言えると思います。
そこには、
1)現役教師が、教授法を高める
2)社会人(学部卒業生)が教師に転職するために、教授法や教科について学ぶ
3)学校・大学職員(候補)が学校事務に関する最新の取り組みを学ぶ
4)校長や学校管理者(候補)が、学校マネジメントについて学ぶ
5)国、地方の教育政策立案者(候補)が教育政策について学ぶ
6)国際機関の教育政策立案者やNGOの教育支援実務家(候補)が、教育開発について学ぶ
7)教育関係の事業家(候補)が新たなニーズや取り組みについて学ぶ
などの様々な目的があります。
僕の場合は、6)がメインになります。
米教育大学院についての論文

おそらく日本で教育大学院といったときには、2)の( )の部分、つまり、教育学部や他の学部生がさらに2年間大学院で学んだあと、教師になる、といったイメージしかわかないのではないかと思います。教員養成大学の延長版といった感じです。

実際に、日本でも2008年度から教職大学院という名前でEducation Schoolが始まるようなのですが、名前からして教職、教師の養成大学院のような限定的な役割付けがされそうな予感がしています。(関連サイト中教審答申

もちろん、アメリカでも、Education Schoolに通う国内の学生は、1)や2)の現役教師や教師志望者が多く、
1)全米の教師人口の多さ
2)正式な教職資格には教育修士(Ed.M)取得を義務付けている州が多いことから(学部卒の教職資格は期間限定の仮免)、
かなりの数の教師が、Education Schoolに通い、それもあって、実はアメリカの専門職大学院の中でも、ロースクールビジネススクールを抑えて、最大規模を要しているらしいです。
しかし、そのような先生方と同じくらい存在感があるのは、3)4)5)などの教育関係の管理・運営者で、僕はどちらかというと、こちらの強化を日本はもっとすべきだと考えています。

教育というのは、教科の知識や教え方以上に(それを前提にして)、教師のやる気や学ぶ姿勢が重要なのだと思っています。
ときおり、そういった「いい先生」がいらっしゃったとしても、それは偶然であって、決してデザインしているわけではないのが今の日本の現状だと思います。

そこで重要になってくるのが、「校長のリーダーシップ」と、システムとして教師のやる気と学ぶ姿勢を引き出すような制度です。
学校職員や校長が、そういった最新の取り組み・研究を、現場の多忙な業務から離れて学ぶ。そして議論と実験の「熱」をもらって帰り、現場で実践する。という仕組みが、日本の教育界にも必要なんじゃないかと感じています。(読売「教育ルネッサンス」関連記事 他にも「学校経営力」というテーマで連載をしていたのでおススメです)
これは小中高のみでなく、大学にもさらにあてはまります。
研究と教育に加えて、「マネジメント」をどうするかという観点です。(これはハーバードにきて、節々で感じるところで、追々書いていこうと思います。)


ということで、話は戻りますが、
僕が通う教育大学院は先生のための大学院というわけではありません。
というより、「教育は先生がしているだけではない」んです。


僕は吉田松陰内村鑑三に憧れて、教育の門を叩いたようなもんですが、国造りのために教育を考えていきたいと思っています。
現場は日本かもしれないし、外国かもしれません。
むしろ世界共通のアイデンティティ造りをしたいとも思っています。
そのために、教師をするかもしれないし、事務職をするかもしれないし、ビジネスマンになるかもしれない。あるいは、政策立案したり、研究したりするかもしれません。そこのところの方法は拘っていないし、まだ決着がついていない、といったところが現状です。

いずれにしても、教職大学院が日本にもでき、海外の教育大学院留学も増えてくるのではないかと思います。
そういう中で、教育が教師だけの専売特許という概念を越えて、教育を大胆に活性化していく動きが、今後うまれてくることを望んでいます。


アメリカで教育大学院に所属する者の、ちょっと長い自己紹介でした。


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