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年明けから、フローレンスの駒崎弘樹さんが「2017年にはぶっ壊したい、こどもの貧困を生みだす日本の5つの仕組みとは」という記事を、続いて自立生活サポートセンター・もやいの大西連さんが「2017年は生活保護家庭の子どもが大学進学できる社会にしよう!」という記事を書かれ、Yahoo!のトップページに掲載されるなど話題になっていました。生活保護家庭の子どもが大学進学する際に、親から子どもが世帯分離しなければならない現状の制度について指摘し、その改正を提言されています。
この制度改正について私も賛成ですが、貧困家庭の子どもが、家庭環境によって大学進学をあきらめずにすむようにするためには、他にも考えなければならないポイントがあるかと思われるので、少し書いておきたいと思います。
大西氏が書いているように、一般家庭の進学率は、大学等(大学・短大)が53.9%、専修学校等が17%で進学率全体は70.9%。それに対して、生活保護家庭の子どもは、大学等(大学・短大)が19.2%、専修学校等が13.7%、進学率全体が32.9%と、大きな差が出ています。
- 作者: 小林雅之
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一方で、小林教授はこのようにも指摘しています。
「これに対して、国公立大学の場合には、高所得層11%に対して、低所得層9.5%と所得階層による差はほとんどないことが注目される。」
「成績下では低所得層の大学進学率は14%に対して高所得層は42%ときわめて大きな違いがある。しかし、成績上位では低所得層の進学率も高所得層の進学率も69%と差はみられない。所得階層別にみれば、高所得層は学力の影響を受けにくいのに対して、低所得層では大きな影響を受けている。」
つまり、所得格差が進学格差を生んでいることはよく知られていますが、低所得層であっても成績上位者であれば、高所得層とほとんど差がなく大学進学しているというデータになります。
もちろん、家庭の所得が子どもの学力と相関関係にあること、低所得層の家庭では塾などに通いづらいため、大学進学率だけでなく、学力にも影響を与える傾向にあることを無視してはいけません。ただ、低所得層であっても、本人の成績を伸ばすことができれば、大学へ進学する割合はぐんと伸び、所得格差による進学格差がほぼなくなることは注目に値します。これは、大学授業料が比較的安く、授業料免除の制度も整っている国公立大学に進学しやすくなること、私立大であっても給付型や貸与型の奨学金を受ける機会が増えること、本人が大学進学を目指し、親や学校の先生などが後押しするようになることなどが要因として考えられます。
単純ではありますが、低所得層の子どもが、より学力をつけ、成績をあげられるようになることが、所得格差による進学格差という負の連鎖を打開する策であることが分かります。
朝日新聞が2016年3月に報道した自治体の学習支援事業実施状況についてのNPO調査によれば、回答した479自治体のうち32.2%の自治体が生活困窮者世帯向けの無料学習塾などの学習支援事業を実施しており、20.3%が新年度に実施予定と回答しています。こういった取り組みが広がり、充実していくことで、所得格差による学力格差、学力格差による進学格差が是正されていくことを願ってやみません。
さらにいえば、親や周囲の子どもに対する期待、教育に対する熱意や教育観などの文化的要因が、子どもの学力や大学進学に影響を与えるといわれています。親に対しては、大学進学による生涯賃金の違い、大学授業料免除制度や奨学金制度の情報などを正確に届ける必要があります。また、親以外の身近な大人として、学校の部活動やアルバイト先の大学進学した先輩、無償学習塾の講師、地域や親戚などの大人が、進学することの意味を伝えられるようにすることも重要です。
私自身は、親の収入がゼロで経済的には大学進学を考えられるような状況ではありませんでしたが、兄が高校中退しアルバイトをしながら大検を取って大学進学したり、親が自分に対して高い期待をもっていたことが後押しになり、大学に行って現状を打開し、夢を叶える道を拓いていこうという気持ちにさせられました。進学後は、大学授業料免除や給付と貸与奨学金、アルバイトで大学生活を乗り越えることができました。(ブログ記事極貧の私は奨学金のおかけで東大・ハーバードに行けた)
「家が貧しいからあきらめる」ではなく、「貧しくても大学進学をあきらめない、夢をあきらめない」と思えるような、そんな日本の社会になることを願ってやみません。また、私自身もできることから努力してまいりとたいと思います。
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