まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

24時間テレビの募金8億円の行き先

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夏の風物詩、24時間テレビが今年も放映された。初めてのランナー当日発表など、今年も何かと話題になっていた。私は以前に24時間テレビで集まる募金の使われ方について記事を書いたが、それから少し状況も変わっているようなので、募金の使途や体制などについて改めてまとめておきたい。

 

24時間テレビのHPを見ると、福祉、環境、災害援助の3つの分野に、「経費を一切差し引くことなく全額、支援活動に活用」しているとある。寄付金総額は39年間で総額365億円、ここ数年は東日本大震災のあった2011年を除くと9億円前後が集まっている。2016年は8億8748万円だ。日本のチャリティー業界において、かなり大規模な事例といえよう。

 

中身の詳細だが、メイン事業である福祉の支援については、以前は福祉車両の贈呈と、盲導犬などの身体障害者補助犬の啓発事業、図書館における障害者情報保障のための機器支援がメインだった。福祉車両は毎年250台前後を贈呈しており、金額にするとおそらく5億円ほど、募金総額の半額近くだと推察する。

 

これらに加えて、最近になって障害者スポーツが支援対象として新たに加わっている。スポーツ用義足やバスケットボール用車いすの贈呈などだ。それぞれ2014、2015年からスタートしており、東京2020パラリンピックの招致も一つのきっかけとなったと思われる。

 

次に環境については、各地で清掃活動を行い、寄付金による支援というよりボランティア参加の促進がメインのようだ。最後の災害援助については、東日本大震災の被災地支援のほか、鳥取県熊本県、水害被害などへの義援金などの支援が目立つ。

 

 

 

24時間テレビの募金が何に使われているか、その支援内容を総じて考察すると、日本国内の古典的な(多くの人に知られている)社会問題に対する、古典的な(多くの福祉団体が行っている)支援方法を続けているという姿勢は変わらない。変化があったのは障害者スポーツの用具支援で、日本テレビBS日テレ障害者スポーツ専門番組「ストロングポイント」を始めた知見などもいかされているのかもしれない。

 

さらに大きな変化でいうと、「公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会」という団体が2013年に設立されている点だ。公益法人として認定されることで、会計の透明化を図る意図があると思われる。これは大規模なチャリティー事業としては大きな前進といえよう。

 

とはいえ、組織概要をみると、法人の会長を含む理事陣はみな日本テレビ系列の役員や社員だ。適正な外部の視点が入るのか、公益事業の専門家の意見が反映されるのかは見えてこない。

 

以前に私は、広く社会に啓発する力を持つ24時間テレビだからこそできることとして、障害者福祉であれば、作業所の工賃向上に向けて努力している現場のマーケティング支援や、それらで販売されている高品質な商品をテレビで紹介するなどの支援策も提案したが、そういった取り組みはされていないようだ。

 

他にも、あくまで例えばの話だが、現在、日本財団パラリンピックサポートセンター(パラサポ)が行なっている様々なパラリンピック支援事業の総額が年間約18億円で、そのうち競技団体の支援が半分弱だ。パラサポは2021年までの時限組織であることを表明しているが、2021年以降のパラスポーツ競技団体を支えるくらいの資金規模を24時間テレビは毎年集めていることになる。パラスポーツ支援であれば、最近取り組み始めている障害者スポーツの用具支援とも一貫性がある。

 

公益社団法人化したことで、公益事業が本業となったわけだから、その道のプロフェッショナルと協働するなど、募金の使い方についてもより工夫をしてもらいたいところだ。これは番組内容にも言えることで、障害のある方や子どもたちが出演しているのに、その演出方法のため障害者の方々のなかで評判があまり良くないという声も聞こえる。チャリティ番組として、番組企画そのものに当事者や支援の第一線の方々の意図や願いがより反映されることを願う。視聴率をあげるために番組編成のプロが切磋琢磨しているなら、社会的事業についてもその道のプロが知恵を絞ってつくりあげるべきではないだろうか。

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