今年も24時間テレビが放送された。今年の夏は氷水をかぶってALS支援に寄付をするアイスバケツ・チャレンジも流行り、チャリティと寄付集めの手法について何かと話題になることが多かった。
24時間テレビは毎年恒例なのだが、今年も出演者への高額ギャラが批判の対象となっていた。今年は定かではないが、週刊誌「FLASH」によると、昨年はチャリティランナーに1000万円、総合司会に500万円だそうだ。
私はファンドレイジングに必要経費がかかること自体は批判されるべきではないし、チャリティなんだから全てを手弁当=ボランティアでやるべきだという考えはかえってプロフェッショナルな社会貢献事業を制限してしまう可能性もあると思っている。
とはいえ、その「経費」が何にどのくらい使われたのかは公開し説明責任を果たすべきであることも強調したい。したがって、タレントや芸能事務所にギャラが支払われるなら、それは公開されるべきで、かけた費用以上に寄付が集まり社会的には公益につながっていることを説明すべきだ。
ギャラの公開ができないなら、そもそもギャラが必要で走りたくもないタレントにテレビ局が指名するのではなく、自発的に我こそは走りたい、ノーギャラでいいからこういった支援のために挑戦したいという人を公募し、AKBのように総選挙で決めたらよい。プロセスまで参加型にすれば、視聴率のアップや寄付額の向上にもつながるのではないだろうか。
そもそも、日本のチャリティ活動は、半義務的な指名制のものが多い。たとえば、日本の寄付総額のなかで圧倒的位置を占める日本赤十字社と赤い羽根の共同募金会は自治会費の徴収から自動的に寄付に回されるケースも多い。寄付は本来ボランタリー(自発的に)に行われるのが原則で強制的に徴収されるのでは税金と変わりがない。
アイス・バケツ・チャレンジに対して一部から違和感が指摘されていたのも、次の挑戦者(寄付者)が指名制で、強制ではないものの半強制的な性格も感じられたからだろう。広く呼びかけられて自発的な参加で拡がる、または寄付先がALSのみに指定されているのではなく、自分で寄付先を選ぶことができるなどのボランタリーな部分が強ければ、より本質的なものになったのかもしれない。
とはいえ、有名人が有名人を指名したからこそ拡がったことも確かで、自発性という本質を追求するのか、寄付総額という社会的果実のために手法については多少の懸念材料にも目をつぶるのかは、社会貢献分野において悩ましい課題である。
これは日本ユニセフ協会の募金が2割近く間接費に使われることへの批判などにも見られる議論だ。
いずれにせよ、日本の寄付文化が指名制による徴収型から、より自発的に自分が支援したいところを自由に選ぶボランタリー型に転換しなければ発展はないだろう。ネット上ではReadyforなどの寄付挑戦型のクラウドファンディングサービスも充実してきており、環境は整いつつある。24時間テレビも、毎年出演者のギャラ問題で批判されるよりは、ぜひ自発的にチャレンジする著名人を後押しするような企画を練っていただきたい。