本山勝寛:まなブロ

独学で東大、ハーバード大学院に合格し、国際教育政策修士課程修了。アジア最大級の国際NGOである日本財団で、教育や福祉、NPO支援に携わり世界中を駆け回っています。日本と世界に「学びの革命」を起こすべく、学びのススメを綴ります。 『最強の独学術』https://www.amazon.co.jp/dp/447979610X/

パラリンピック成功の鍵は教育にあり

都議選が終わり、東京都の立法府の布陣はかたまった。都議選は4年に1度行われるわけだから、この体制で東京は2020を迎えることになる。東京の重要政策は、教育、少子高齢化問題、防災、経済など様々あるが、この4年間の重要案件に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会がある。オリンピック・パラリンピックをどう一発花火ではなく、社会を変える契機とすることができるかが、為政者に問われる。

小池都知事も、舛添前都知事もさかんに発言をしていたのが、「パラリンピックの成功なくして東京オリンピックの成功はない」ということ。知名度や報道の多さから、オリンピックばかりに関心がいきがちだが、いまや世界で3番目に大きなスポーツイベントになったパラリンピックをどう成功させるかは、2020を迎える東京と日本にとって重要な課題。オリンピックは誰もが知っているので、ある意味何もしなくても成功する。一方でパラリンピックは、何もしないまま2020を迎えると到底成功するとはいい難い現状だ。

パラリンピックは社会を変える力がある」と言われている。それは選手たちがトップアスリートとしての一流のパフォーマンスをみせることで、多くの人たちに純粋な感動と驚きを与え、人々の心を動かすとともに、障がい者へのこれまでの固定概念を覆す機会となるからだ。人々の意識が変わり、障がいの有無にかかわらず違いを認め合う、インクルーシブな社会(共生社会)に寄与するといわれている。また、競技会場だけでなく、街や交通機関などでバリアフリー化が進み、住みやすいまちづくりの契機ともなる。

そういったパラリンピックを成功させるために、重要な鍵と考えられているものがある。それは教育だ。

278万人の観客を集め、史上最高の大会とされた2012年のロンドンパラリンピックでは、GetSetと呼ばれるオリンピック・パラリンピック教育が大々的に行われた。そこで英国中の子どもたちが、パラリンピックの魅力に触れてファンになり、子どもが親や大人と一緒に家族連れでパラリンピック大会に連日応援しにいった。子どもは固定概念にとらわれていないので、パラリンピック選手や競技をみると、純粋に「すごい!」「かっこいい!」と感じ、目を輝かせる。その子どもたちから、大人が影響を受けるわけだ。

このロンドンでの成功事例を参考にし、日本でも東京2020パラリンピックに向けて、本格的にパラリンピック教育がスタートした。国際パラリンピック委員会公認パラリンピック教材「I'mPOSSIBLE(アイムポッシブル)」が開発され、全国のすべての小学校に配布されたのだ。私の勤める日本財団パラリンピックサポートセンターが、国際パラリンピック委員会日本パラリンピック委員会、それに日本版編集にはベネッセこども基金も加わって共同開発した教材だ。東京2020組織委員会の公式サイトにも掲載され、誰もがダウンロードできるようにもなった。
https://tokyo2020.jp/jp/get-involved/education/teaching-material/iampossible/

競技紹介や授業の進め方映像などのDVDや、授業用シート(紙芝居形式・スライド形式)、教師用の指導案や授業用ガイド、教師用ハンドブックなどがセットになっているので、パラリンピックのことを知らない教師でも、この教材セットを使えば、誰でもすぐにパラリンピック教育の授業ができる内容になっている。座学だけでなく、パラリンピック競技のシッティングバレーボールやゴールボールを体験する実技授業も可能だ。

2020年までに、全国の学校でパラリンピック授業が行われるようになれば、東京2020パラリンピックは間違いなく成功するだろう。子どもたちがパラリンピックを通して、共生社会のあり方について深く学び、多くの気づきを得ることで、日本の社会が変化する一助になるにちがいない。

東京を含む全国の為政者、そして教育関係者は、2020を通して社会を変える鍵となるパラリンピック教育にぜひ力を入れていただきたい。

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