まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

トヨタの新扶養手当案に賛成

トヨタが配偶者手当を含む扶養手当(家族手当)を大幅改正することに合意したという記事が話題になっている。朝日新聞の記事「トヨタ、配偶者手当廃止へ 子ども分を4倍増 労使合意」を抜粋すると以下の通り。

トヨタ自動車の労使は、「家族手当」を大幅に見直すことで大筋合意した。月額約2万円の専業主婦(夫)らの分を廃止する代わりに、子どもの分をおおむね4倍に増額する。来年1月以降、段階的に実施する。女性に就労を促し、子育ても支援する国の政策を先取りする形だ。
 トヨタの家族手当は月給の一部で、現在は子ども1人あたり月5千円が基本だが、新制度では2万円に引き上げる。一方、社員の妻か夫が働いていない場合や、年収が103万円以下の場合に払っている分(月1万9500円)は打ち切る。これらにより、子どもが2人以上いる社員は手当が増えるが、妻が専業主婦などで子がいない場合は逆に減る。全体の会社支払額は変わらない見通しだ。

政府の配偶者控除見直し議論に呼応するかたちでの扶養手当改正ということだろう。私はかねてより、単純な配偶者控除廃止や扶養手当の廃止は、「女性の活躍推進」の美名のもとに、実際は子育て世帯の負担を増やし、結果的に少子化を加速させることになるため反対だ。政府の政策は放っておくと、そういった方向に流れやすい。しかし、今回のトヨタの見直し案は、子どもの扶養手当を大幅に増額させるという措置をセットにしているため、大筋では賛成だ。子どもを産み育てることを社会全体で後押しするような環境をつくることが、少子化問題を解決するには必要だ。

注文をつけるとしたら、配偶者でも病気や障害で働くことができない場合や、0−2歳児の子どもの面倒をみたり介護に専念している場合、夫の海外赴任で働くことができない場合もある。そういった配偶者については、扶養の必要性が高いことを鑑みて、何らか手当を措置することも検討の余地があろう。

もちろん、政府ではない民間企業が全てトヨタのような扶養手当を導入する義務はない。ただ、日本では大半の企業が扶養手当制度を保持しているのが現状だ。人事院の「職務別民間給与実態調査」(2014年)によると、全国の従業員数50人以上の会社で扶養手当制度があるのは76.8%で、そのうち92.7%が配偶者手当を支給している。配偶者手当や扶養手当が単純廃止されるよりも、こういった配分の変更をするほうが、労使間の摩擦は少なくすむし、社会全体として少子化対策につながる。

上記記事にもあるように、会社全体の手当支払い額は大きく変わらないと見込まれている。そうであるなら、より少子化対策につながる配分に転換していく方が、日本社会全体の持続性にとっても功を奏すことになり、長期的には企業の利益にもつながるだろう。

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