保育所に預けずに家庭で育児をする世帯に給付金を支給する「在宅育児手当」を、鳥取県が導入することが発表された。海外ではフィンランドやノルウェー、デンマークやドイツなどで事例があったが、日本では都道府県レベルでは初めての事例となる。産経新聞の記事を抜粋すると以下の通り。
鳥取県は18日、0歳児を保育所などに預けていない「在宅育児世帯」を対象に、現金給付を含めた支援制度を平成29年度から開始する意向を各市町村に示した。県によると、1億〜2億円を予算案に計上する。都道府県レベルでこうした制度を導入するのは初めて。
県が作成した制度案では、事業主体は市町村とし、児童1人当たり月に3万円程度の給付を想定。県は1万5千円を上限に助成する。現金給付の他に一時預かりサービスの利用補助や子育て用品などの現物給付も選択可能とし、所得制限を導入するかどうかも含めて各市町村に判断を委ねる。
今回の鳥取県の制度は0歳児を対象としており、育休給付金を受給できない世帯が対象となる。出産を機に退職した世帯や専業主婦世帯、自営業者などは育休給付金を得られないため、そういった世帯にも支援の対象がひろがる制度だ。
また、0歳児には子ども3人に対して保育士1人がつかなければならず、年齢が上の子どもよりも、多くの保育士が必要とされる。結果的に公的財政負担も大きい。在宅育児手当は、そういった保育士不足や待機児童対策、保育予算増加の抑制にもつながることが期待される。もちろん、子育ての経済的負担感が軽減されることで、少子化対策の効果もある。
私はかねてから在宅育児手当の導入を提言してきたが、今回の鳥取県の先進的取り組みが全国の自治体や政府の政策にも波及していくことを期待したい。特に、待機児童問題が深刻な東京をはじめとする都市部では、真剣に導入を検討すべきだ。
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