本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

宿題代行業者には規制をかけるべき

3年前、読売新聞の「いいの?夏休みの宿題代行、十数業者に注文次々」という記事を読み、宿題代行サービスなるものが世の中に広まっていることを知った。これ、普通に考えてまずいでしょ。記事を抜粋すると以下の通り。


 学校の夏休みを前に、読書感想文や自由研究などの宿題を有料で丸ごと請け負う業者に注文が相次いでいる。塾通いで忙しい子供のために、学校の宿題の代行を依頼する保護者らが目立つという。宿題は学習指導要領などで位置づけられておらず、文部科学省は「代行は望ましくないが、業者にやめさせることは難しい」としている。(中略)
 料金は、自由研究1件で1万5000円、読書感想文1枚(400字)2500円など。感想文などは子供に清書してもらい、漢字のドリルでは子供の字体をまねて書くこともある。(中略)
 代行業者はインターネットなどで注文を受け付けており、少なくとも十数業者いるとみられる。小学6年生だった息子の宿題代行を頼んだことがある首都圏の男性は「中学受験を控え、塾では連日テストがあり、負担を減らしたかった」と振り返る。

 

親が子どもに中学受験で合格させるために、優先順位が低いと判断した学校の宿題をお金で解決するということだ。おそらく、「学校の宿題のレベルが低すぎて役立たない」とか、「中学受験に受かることが人生の成功につながるのだからしかたない」といった理由からそうしているのだろう。極端な功利主義に走ると、親が子どものために良かれと思って、こういったことを選択してしまうことがある。しかし、お金を払って子どもに宿題代行をさせることが、本当に子どもの将来のためになるのだろうか?大学生になっても、社会人になっても、虚偽で成果を出すような人間に育ててしまっていないだろうか。

私は高校生くらいになると、自分の意思で宿題をしないことがあった。お金がなかったので、学校の指定する問題集を買うことができず、その問題集が宿題に課されてもできなかったのだ。とはいえ、それは一つの言い訳に過ぎず、友達から借りたり、先生に相談すればコピーをしてくれたりはしただろう。ただ、そのときは宿題をしなかったことをはっきりと伝え、それで成績が下げられたことがあった。

受験を優先したいという場合も、「受験勉強の方が優先順位が高く、学校の宿題をやっている時間がもったいないのでやりませんでした」と正直に理由を述べて、教師に申告すればよい。学校の成績が少し悪くつけられたとしも、虚偽で良い成績を取ることは間違ったことで、正直で誠実であることのほうがずっと重要だということを、親は子どもに伝えるべきだ。

私も、小学1年生の子どもが毎日夏休みの宿題に取り組んでいる。親が答え合わせをしてあげると、子どもも喜んで勉強に取り組んでいる。自由研究はどんなテーマにするか、親子で楽しみながら考えている。低学年のうちは、夏休みの宿題が親子の対話の機会にもなると実感している。

子どもの成長と将来を考えない親はいないだろう。だからこそ、その選択が本当に子どもにとってよいものなのか、立ち止まって考えてみていただきたい。

この宿題代行の問題提起をして3年が経つが、宿題代行サービスの利用は減らないどころか逆に増えているようだ。本来なら親が自主判断すべきだが、そろそろ学校や教育委員会は公式見解を出すべきだし、政府は代行業者に規制をかけるべきはないだろうか。

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