本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

文化庁の京都移転に賛成

時事通信が年末30日に、「文化庁の京都移転有力に=「一部機能」軸に検討−政府」という記事を報じた。一部を抜粋すると以下の通り。

政府は年明け以降、地方創生の一環として、中央省庁の地方移転に関する検討を本格化させる。移転候補は文化庁消費者庁中小企業庁など7機関で、政府内には「文化庁京都府への移転が有力」との見方が浮上した。ただ、候補となった省庁の抵抗は激しい上、「丸ごと移転」が国全体に与えるメリットを説明するのは難しく、「一部機能」の移転を軸に調整する見通しだ。
政府は東京一極集中の是正を目的に政府関係機関の地方移転を検討しており、中央省庁の移転はその代表格。地方側の意向も踏まえ2016年3月、移転方針を決定する。
政府が特に重視するのは、移転のメリットが全国的に理解されるかどうかだ。京都府や市などは「国宝の5割、重要文化財の4割が関西・京都に集積している」とし、文化庁誘致の意義に、日本文化の交流拠点づくりを掲げる。

私は以前から、出生率が最低でブラックホールのように日本の人口を吸い込んでしまっている東京一極集中体制を是正するため、また首都圏直下型大地震へのリスクヘッジと地方創生の観点から、首都機能移転を主張している。政治的にすぐにできないにしても、省庁の一部や独立行政法人の地方移転であれば現実的にも可能で、そのこともブログ上で提言してきた。文化庁の京都移転や他の庁舎の地方移転は、そういった東京一極集中の是正という観点から大いに賛成だ。

安倍首相の肝入りで創設され、大物である石破氏が地方創生大臣に就いたにもかかわらず、これまで地方創生の具体策が遅々として見えてこなかった。一方で、超少子高齢化と地方の衰退は確実に進んでしまっている。国会や省庁全体の地方移転こそが改革の本丸であるにしても、文化庁等の中央行政機関を地方に移転できたという象徴的な実績を積むことが、弾みをつけるためにまずは重要だ。

文化庁自体は職員300名規模だが、ほかにも独立行政法人国立文化財機構日本芸術文化振興会もセットで移転し、「文化行政は京都」というブランドと行政的仕組みをつくってしまうのがよい。その点から言えば、外務省の外郭団体だが、国際文化交流事業を手がける独立行政法人国際交流基金も同様に京都移転することも考えられる。

私も日本財団で、海外からNGOリーダーや学者などの招聘事業を行うことがあるが、東京で会議ばかりするのではなく、京都に連れて行くと日本文化を肌身で感じることがてき、圧倒的に喜ばれる。京都には、竹宮惠子氏が漫画家として初めて学長になった京都精華大学京都国際マンガミュージアムもある。マンガが国内のみならず海外に対して強い訴求力のあるコンテンツであることは言うまでもない。文化庁の京都移転を機に、日本のソフトパワーと国際文化交流の拠点を京都に置き、官民が戦略的に世界に発信することも考えられよう。その際には、移転後の文化庁長官には発信力のある民間人を起用することも提案したい。

また、上記のセット移転が可能となれば、職員数で一千名強、家族も含めれば3〜4千名の人口移動となる。関連する団体や企業への波及効果も考えられよう。この場合は政令指定都市を抱える京都が移転先候補だが、より人口の少ない地方であれば大きなインパクトになる。今回であれば、徳島県消費者庁三重県気象庁、長野県が特許庁などの誘致に手を挙げている。

3月の移転方針決定の際には、政治決断してほしいところだ。石破大臣、馳大臣、そして安倍首相、ぜひよろしくお願いします。

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