このままでは、2040年には896の市町村が「消滅」する(若年女性の人口が半分以下になる)。衝撃的なレポートが話題になり、昨年には地方創生大臣のポストが新設され、石破氏がその任に就いた。とはいえ、具体的で効果的な地方創生策は未だに見えてこない。
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そんななか、先日発表された平成27年日本民間放送連盟賞の青少年向け番組で最優秀となったテレビ山梨の番組「ウッティ発!アンニョンハセヨ!ワタシ桑ノ集落再生人」が、限界集落の再生を考えるうえで大変示唆深くおもしろかった。民放連サイトにある番組の説明は以下の通り。
プロデューサー 古屋孝樹、ディレクター 岩粼 亮
少子高齢化が進む山梨県市川三郷町山保は、かつて国内シェア85%を占めた桑の品種「一瀬桑」の発祥地である。縁もゆかりもない集落に飛びこんだ韓国人ハン・ソンミンさんと妻の楠三貴さんは、使いみちのなくなった一瀬桑を利用した「桑の葉茶」で集落を活性化させ、若者を増やしたいと汗をかく。夫婦の奮闘の4年間を追いかけた。
ハンさんが国境を越え、日本の限界集落を復活させようと努力する姿は、目標を実現するため、子どもたちにあきらめないことの重要性を教えてくれる。
はじめは夫婦二人で桑の葉茶の加工販売を手掛ける会社「桑郷」の経営に苦労するが、いつも元気で豪快な笑いを絶やさない。桑の葉の生産者である70代、80代の村の人たちを前に、村に子どもたちが桑の葉生産を引き継ぎ、この村に若者が集まる希望を熱く語る。村人たちは「気持ちは分かるが、現実がな。。」と息を落とす。典型的な限界集落、「消滅」していく一つの村の姿のようにみえる。
しかし、それが2年、3年経つと次第に販路が拡大し、生産量も増えていく。そして、これまで車で1時間以上かけて働きに出ていた村のお母さんたちが「桑郷」で働くようになり、村に雇用が生まれる。小さい頃から桑の葉生産を見てきた村の高校生も手伝うようになり、将来ここで働きたいという気持ちを強くする。小さな村の小さな会社の挑戦だが、観ていると心が温まり、元気をもらえる番組だった。事業の行末が分からない時期から、4年間も密着で追い続けていたところもすごい。番組は以下YouTubeからも視聴できる。
桑の葉茶を販売している「桑郷」のホームページはこちら。
地方創生も様々な政策が必要だが、結局行き着くところは「人」。こういう小さな挑戦が一つ一つかたちになっていくことを期待し、応援したい。
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