- 作者: 齋藤孝梅田望夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2008/05/08
- メディア: 新書
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私が文筆家として意識する二人の対談本。
二人の共通項となる福沢諭吉の自助の精神をヒントに、学び続けることの大切さとその姿勢、現代社会における「私塾」の可能性について語り合っている。
齋藤さんは教育家として大学教授として私塾のあり方を模索する。特に印象的なキーワードは「あこがれ」と「私淑」。「あこがれにあこがれる」こと、つまり、何かに猛烈にあこがれている人をみて、そういう姿にあこがれることが学びの基本となる。それが私淑することでもある。
梅田さんは数万人レベルでもつブログユーザーとの学びの場を新しい私塾の可能性として提起する。
幕末は志を同じくする者を求めて脱藩=越境する。そして熱く語り合って分かれるときには別の志ある人を紹介してもらうというネットワーキング社会が成立していた、とは齋藤さんの発言だが、確かにそういう特徴はブログやSNSの社会に近いかもしれない。
齋藤さんがロールモデルとして嘉納治五郎、座右の書としてニーチェの「ツァラトゥストラ」を挙げていたのには驚いた。「独学戦記」や「16倍速勉強法」でも紹介した通り、私のそれと同じだ。
新しい社会における教育、あるいは学びのあり方について大いにヒントを得た。まるで、二人の対話の中に入っているかのような錯覚を覚えた。