価値を知ること〜イザベラ美術館
先週楽しみに向かうも、見事に休館だったイザベラ・スチュアート・ガードナー美術館(通称イザベラ美術館 or ガードナー美術館)。
このまま引き下がるわけにはいかないので、再チャレンジで行ってきました。
1900年前後、資産家の旦那さんに先立たれ未亡人になったイザベラさんが、その遺産で世界の美術・骨董品を集めたのがこの美術館の始まりのようです。
吹き抜けの中庭がある4階建て建物に、個人で集めたとは思えないほどの数と質の美術品が飾られています。一般の美術館と違うところは、各部屋やろうかに机や椅子、壁紙、置物(全部、美術骨董品)とともに海外や彫刻などの作品が置かれている点。
まるで、自分が豪邸に住み、世界中の美術品をたしなんでいるかのような気分を味わえます。
また、イザベラさんの哲学から、作品も歴史やジャンル別に分けられておらず、一見無造作に置かれ、鑑賞者のインスピレーションを大事にしているとのことです。
そして、ここの最大の魅力が吹き抜けの中庭。
館内は全て温度管理がされていて快適なんですが、天井はガラス張りで日光が心地よく差し、館内のあらゆる角度からその中庭がのぞけます。
これが私邸だったなんて、信じられない「優雅さ」です。
まさに、全館が芸術といった感じでした。
中国美術や日本美術の作品も、相当数飾られており、岡倉天心(覚三)との手紙も展示されていました。天心の理解者、出資者でもあり、天心は彼女のために東洋美術の収集に尽力したのでしょう。
一つ残念だったのが、レンブラントなどの超大作が盗まれていたこと。
作品の跡もそのまま残されています。
説明を読んでみると、見つけた人には5百万ドル(6億円)の賞金が出るとか。
世界が違すぎる・・・
いずれにせよ、評判通りの素晴らしい場所でした。
美術作品群を説明臭く陳列するのではなく、鑑賞者(収集者)の趣向によって配置することで、こうも見方が変わるのだなぁということを感じました。
これは、数学の公式であったり、倫理道徳であったり、原理を伝達するときにも同じことが言えるのかとも思います。
実際の問題の中で、こうやってこの公式を使えば解けますよ。こういう生活の課題に突き当たったとき、こういう生き方を貫いてこうでした。というような語り口に近いのかなぁと。
学習法において重要な観点ですし、僕が東大・ハーバードの受験記や留学日記(を通して人生論)を書いてるのも、そういう意識から取り組んでいます。
僕はイザベラさんのような資産家ではないですが、実際に経験した者、真に価値を知る者のプロセスと姿(その価値に感銘した姿)を垣間見ることが、その価値を知る最善の道なのかもしれないと感じます。