本山勝寛 4kizフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

ブラック・サムライ@JETプログラム

ソフトパワー」概念の親、ジョセフ・ナイ教授との日本ソフトパワーに関する意見交換会で、「ソフトパワーを効果的に高める政策の例としては、日本のJETプログラムがある」ということを聞いてから、このプログラムについて関心を持っています。

海外のネイティブ・スピーカー(主に英語)を日本に招き、英語の補助教員や国際交流員として、全国の中学・高校に配置するというプログラムで、1987年から始まり、今では毎年約6000名が参加し、そのOB/OGは4万名にものぼるそうです。

このプログラムは、海外では定評があるらしく、ナイ教授だけでなく、『ジャパン・アズ・ナンバーワン』のエズラ・ボーゲル先生も評価されていました。その主なポイントは、

・大部分のJET参加者が日本の地方(「田舎」)に配置されるので、日本の本当の姿、人々の温かさに触れることができる。また、ほとんど外国人と接することがない地方の人々に、外国への関心・理解を拡げる機会が提供される。
・キャリア形成としても定評あるプログラム(待遇などもよい)で、競争率、参加者のレベルが高い。トップスクール卒業生からの参加者も多く、OBも各界で活躍している。(教育大学院をはじめ、ハーバードにもJET参加者が多数在籍していることについては、以前にも触れました。)

OBの活躍という観点からみると、たとえば、東京のアメリカ大使館には、現在約20名のJET参加者が勤務しているそうです。イギリス大使館も同様に、多くのJET参加者が活躍しています。(参考サイト
また、金融界やマスコミ界でも、日本と関係する立場で活躍している方もいます。ダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズ東京支局長のインタビュー
ほかにも、日本で英語を教えているときに日本酒の魅力に魅せられて、以来、日本酒を世界に売り込んでいるというような方もいます。(著書『日本人も知らない日本酒の話』
アカデミックな世界でも、日本研究者を安定的に輩出しているようです。

こういった各界で活躍する知日家が多数輩出されているということで、知日家の歴史を五世代くらいに分けると、現在は「JETジェネレーション」と称される、このJETプログラム参加者が主流になってきているということらしいです。(参考:コロンビア大政治学教授の講演

その中で、JETプログラムの参加者がその体験記を綴った『ブラック・サムライ』という本が目に留まったので読んでみました。

おそらく、出版まで自ら先導したもので、本自体もすごく手作り感溢れています。等身大の体験記や詩が綴られていて、読んでいて共感するところが多かったです。
たとえば、“Naked”という彼の詩の中でこんな表現があります。

Naked, is what I am
Naked, is what I be
When I try to communicate

人口1万数千人の小さな町の中のたった一人の外国人として格闘した日々の、ダイレクトな心情が語られています。
外国人(特にアフリカン・アメリカン)英語教師からみた日本の等身大な姿が見えてくるだけでなく、外国生活で苦しみながらも多くのことを学ぶポジティブな姿に勇気付けられます。

僕自身、自分の体験・学んだこと・感じたことを多くの人に伝えたいという想いからブログを書いてますし、恥ずかしながら(自費でも)出版できたらとも考えてもいるので、そういう意味でも、この「SAMURAI」の手記に多くのインスピレーションを受けさせてもらいました。

ソフトパワー」って、ある意味、そういうことなのかもしれません。


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