ジョセフ・ナイ駐日米大使の日米関係
オバマ政権下の次期駐日アメリカ大使にジョセフ・ナイが就きそうだ。ハーバード大教授で「ソフトパワー」を提唱した人物。
私も、日本のソフトパワー研究をハーバードの日本人学生有志で行った際に、研究内容をチームで発表し貴重な意見をもらった。(そのときの日記)
写真:"For Hiro, with best wishes, For your softpower! Joe Nye"と書かれたサイン
ナイ大使就任によって日米関係がどう変化するか。日本の各紙は、知日派の代表であるナイ氏の就任は日本重視の表れと評価し、朝日新聞などはナイが軍事力など「ハードパワー」に偏らず、価値観や文化など「ソフトパワー」も外交手段として活用すべきだとする「スマートパワー」論の提唱者であることに触れ、「スマートパワー論を踏まえて、軍事偏重ではない幅広い同盟関係を築く方向に進みそうだ」と論じている。
軍事力と対置するかたちでソフトパワーを論ずると捉えようのない曖昧な概念に陥りやすいが、私はソフトパワーの真髄の一つは個人間の関係人脈だと思っている。そういう意味ではナイのハーバードでの教え子と知友は今や政官学に拡がっており、アメリカのソフトパワーの体現者として、ポジティブな影響力を駆使してくることは間違いない。当面は金融危機に伴うアメリカバッシングの空気を「世界の英雄」と化したオバマとともにどう覆し、米国経済の再生に日本の力をどう借りてくるかが課題になってくるのだろう。その上で、対イラク、アフガン、北朝鮮に対する日本の「貢献」をどう導くかも手腕の見せ所だ。
逆に、日本の立場から考えると、ナイという人脈を使ってどうアメリカの外交政策に食い込むかが重要で、ある意味日本のソフトパワーを逆に駆使するチャンスでもある。ソフトパワーは相互にポジティブに働いたときにこそ、うまく効果を発揮するという特徴もある。私も微力ながら何らかのアクションを起こしていきたい。