途上国の教育開発に関する研究を進めていると、よくお世話になるのが世界銀行(以下、世銀)の文書。
世銀というと、日本も、東京オリンピック開催までの高度経済成長の期間、高速道路・新幹線開発など、戦後復興のための資金提供を受けてきた経緯がある。
今は、もちろん最大規模の資金提供国となっている。
しかし、抱える課題は国連諸機関と同じで、活躍する日本人の人材が少ないということだ。
現在200名程度の職員のうち、100名程度が若い女性職員、70名程度が省庁からの派遣、2-30名が4,50代の世銀プロパーだという。
必然的に、日本の特徴・強みをいかした手法・戦略を売り込むことも、日本人職員、日本という国そのもののステータスを上げることにも苦心する。
一方、おとなり韓国は、教育部からシニアな人材を派遣し、韓国の教育政策の変遷やその波及効果等を体系だって説明し、それを援助の各場面に当てはめていくということをしているという。世銀は、この人材を重宝し、韓国の「教育発展モデル」が世銀に認知され、韓国の人材による教育プロジェクトが複数立ち上がっている。
韓国の「教育発展モデル」って、それもともと日本のモデルでしょ?とつっこみたくもなるが、やったもん勝ちの世界だ。
特に、国際的な舞台では、国際的に認知された発行物や機関から(正でも負でも)評価されていることが大前提となる。そういう情報発信の動きが、日本はあまりにも欠けていることを、留学生活を通して改めて感じる。
ハーバードに関していうと、経産省からケネディスクールに来られている方は結構いるのだが、文部科学省から教育大学院に来られている方はたった一人だ。その友人から聞くところによると、4名しかアメリカの大学院に派遣留学に来ていないらしい。
アメリカの大学院のステータスの違い(教育大学院の認知度はMBA、公共政策と比べるといたって低い)や、日本の省庁が抱える予算が大きく反映しているのだろうが、いたってさびしい話だ。
教育を担当しているところほど、教育に投資しないというジレンマがある。(理由はお金がないから?)
いずれにしても、上記に挙げた韓国のような働きかけは至急に必要であるし、日本の開発モデル、発展モデルとは一体なんだったか?というテーマを、アジアの周辺国に対する影響とともにまとめて発信していく必要があると感じる。
それを文化的なブランディングと組み合わせて、ソフトパワーに昇華させていく必要がある。
僕もまだまだ専門家とはまったく言えない人間だが、授業のペーパやディスカッションで折に触れて日本のモデルを紹介したり、ハーバード松下村塾でエズラ・ボーゲル先生(おそらく日本をアメリカに紹介する第一人者)に自分のアイディアをぶつけてみたい。
参考:
契約に基づく大学の途上国協力活動に必要な大学運営・行政・開発援助システムの研究
「国際開発協力サポートセンター」
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