まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもの貧困対策チームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

アメリカ海兵隊の組織論『知的機動力の本質』

f:id:theternal:20190323151802j:plain


『失敗の研究』や経営戦略論で著名な野中郁次郎氏による、アメリ海兵隊の組織論的研究『知的機動力の本質』を読んだ。

 

今日のように変化の激しい現代社会では、時代の変化に合わせて常に新しい戦略を生み出してきた「自己変革の組織」であるアメリ海兵隊の組織経営のあり方が、実は企業や他の組織にも非常に参考になるという論だ。

 

敵の弱みを突いて敵のシステム全体の機能を破綻させる「機動戦」を得意とし、そのために俊敏な意思決定と現場リーダーの自律的な行動が肝になる。それを可能とする海兵隊員共通の訓練、組織の文化と構造、ルールがある。

 

機動戦を行う組織は、自律分散的・協同的なネットワーク型でなけらばならない。指揮統制は、現場の適応性や自発性を尊重する。理想的な兵士は、相互に信頼し合い、作戦行動に関するプロフェッショナルで自律分散型のリーダーシップをもつ人材だ。敵が予想もしなかった戦略・戦術を採ることによって、相手に「これでは勝てない」という認識を抱かせるのである。

 

指揮の哲学が強調していることは、第一に作戦の望ましいテンポを生み出すために、そして戦闘の不確実性、無秩序、流動性に最もよく対処するためには、指揮と統制の分権化が必要である。第二に大胆不敵、自発性、人格、意志の強さ、想像力のような人間の特性を取り入れるだけでなく、活用しなければならない。

 

意思決定のポイントは「二段階アップ(ツーレベルズアップ」」という方法にある。指揮官が隊員に命令する時には、自分の上官(全体目標)と自分(個別目標)の意図の「目的 What」と「理由 Why」を説明するが「方法 How」は任せる。部下に大局観を与えつつ、個別の文脈に適合させる実行方法は実行者に任せる。流動する状況では、目的を遂行する実行手段が機能しなくなっても、「目的」と「理由」を理解しておけば臨機応変にほかの手段を用いることができるからだ。指揮官は、部下にやり方を指示しない努力をするのである。そして権限を委譲したからには、部下の行為に対してみずからも責任を取る。

 

海兵隊だけでなく、変化の激しい社会のなかで意思決定のスピードど柔軟性が問われ、現場主義を貫こうとする組織には、大いに参考になりそうだ。