社会に一石を投じた大ヒットマンガ『うつヌケ』
「うつ」をテーマにしたマンガ『うつヌケ』が33万部を超える異例のヒット作品となり、話題となっている。うつという心のトンネルから抜けた、様々な職業の人たちの事例を、経験者である本人がマンガで紹介した画期的な作品だ。
うつは、「心のガン」といわれるくらい重い病気であり、15人に1人が生涯に一度はうつ病になるといわれているくらい罹患する可能性の高い病気だ。にもかかわらず、どんな病気なのか、どうやったら治せるのか、あまり知られていないのが現状だ。理解されていないからこそ、症状が深刻化したり長期化しやすく、時に自殺という死に至らしめてしまうときもある。
「うつヌケ」はそんな重たい病気の特徴と、トンネルから抜け出してきた事例を、マンガならではの軽さと分かりやすさで紹介してくれる。当事者だけでなく、家族や同僚がうつで苦しんでいる人、うつを経験したことがない人にも理解の助けになる。
もちろん、たった一冊ですべてを語りきることはできないだろう。しかし、作者自体がそうだったように、このマンガによって救われる人が、きっとたくさんいるだろうことを思うと、社会にとって価値ある一冊であることに間違いない。予防や現代病への理解という観点からも一読をお薦めしたい。
先日の記事では、これもヒット作品になりそうな『漫画 君たちはどう生きるか』を紹介したが、マンガ×社会、マンガ×学びの領域はこれからますます注目されてくるだろう。