拙著「16倍速勉強法」文庫版の五刷目の増刷が決まった。ペーパーバックスの初版が2008年に刊行されたので足かけ6年で10刷、累計5万部になった。長く読んでいただけることは筆者として何よりもうれしいことだ。
16倍速勉強法―「東大」「ハーバード」ダブル合格 (光文社知恵の森文庫)
- 作者: 本山勝寛
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 文庫
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一般的に本が読まれる期間「本の寿命」は、近年、ものすごく短くなっていると感じる。これはおそらく、委託制度と関係している。委託制度とは、出版社が取次や書店に対し出版物を配本し、販売を委託、書店は委託された出版物を販売し、一定の期間内であれば返品できる制度のことだ。書籍の委託には、新刊委託は通常105日間、長期委託は4ヶ月〜6ヶ月間、常備寄託は通常1年間(本来は「委託」であるが、税法上社外在庫として扱われる)の三つがあるそうだが、大半が新刊委託の105日だ。この委託期間の過ぎた商品は売れ残っても返品できないことになっている。なので、3ヶ月過ぎると、場合によってはもっと短い期間で多くの本が返品されてしまうのだ。
そして、本の返品率はなんとおよそ四割とのこと。恐ろしい数字だ。
この原因の一つは、本が売れなくなっているにも関わらず、新刊点数が増え続けていることだ。書籍の発行部数は1997年にピークを迎え減少し続けているのに、年間の新刊本は6万点から8万点と30%も増加している。毎日200点以上の新刊本が次々に書店に届いては、すぐに返品されてしまうのが本の現実なのである。返品の印刷コストを抱え経営が苦しい出版社は、消費者を刺激するためにまた新刊を出す。しかし、流行りに乗って急いで書かれた本は短期的には消費されても長くは読まれない。そんな悪循環から抜け出せないでいるように思う。
いま一度立ち止まり、じっくりと丁寧に本をつくり、そして、その本がじっくりと長く読まれ、愛され続けるよう、出版界は舵を切ることはできないのだろうか。(参考記事:大学生の四割が本を読まなくなった日本で、本をもっと読むようになる方法を考えてみた)
「16倍速勉強法」を世に出してくれた、元光文社ペーパーバックス編集長の山田順さんの本も興味深い。
- 作者: 山田順
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2012/11/02
- メディア: 単行本
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