世界から貧困をなくすこと。
その鍵は、地球上の全ての子供たちが、基礎的な教育を受けられる環境に自由にアクセスすることができ、良質な教育を受けられることにある。
国連のMDGs(ミレニアム・ディペロップメント・ゴールズ)やEFA(Education for All;万人のための教育)を参照せずとも、僕はそのことを信じている。
そして、多くの人びとがそのことを信じていると思う。
このテーマをいかに実現するかについて、僕はハーバードで勉強している。
その中で、一つ興味深い事例を学んだ。
とてもシンプルな政策だ。
貧しい地域や貧しい家庭を選定し、その家庭の子供が学校に通い続ければ、その分奨学金を家庭の母親に支給する、というものだ。
このプログラムはにはいくつかの特徴がある。
1)貧困家庭・地域を調査し、ターゲットを限定
2)政府から、地方自治体を遠さずに、直接家庭の母親に送金
(父親より母親のほうが子供の教育・保健に対する投資が高いという研究結果を踏まえている)
3)男子より女子のほうが受給金額が高い(女子の高い中退率を踏まえている)
4)保健政策と同時に実行(健康診断に定期的に通えば同様に補助金受給)
5)初期段階でテスト地域(プログラムを実行しない地域)を設けながら、徹底した評価を行った
メキシコで実施されているこの教育政策は、1997年、(「PROGRESA(Programa
de Educación, Salud y Alimentación)」として始まり、現在は「Oportunidades(機会という意味)」と呼ばれている。
このプログラムにより、中等教育への進学率が20%上がり、児童就業率(フルタイム)が15%下がったと推定されている。(2002年の時点)
また、(遠隔地域では)多くの学校を作るよりもずっと効果的だという研究もされている。
この政策が多くの機関に評価されているのは、マーケティング(実行前の調査)とアセスメント(実行後んぼ査定)がしっかりなされている点にあるのだと思う。
また、この政策が多くの予算を費やしながらも強固に実行されているのは、強いリーダーシップによるものだと思う。
シンプルなことを行うことで、社会が変わることがある。
社会が変わることで、多くの人が幸せをつかむチャンスを与えられる。
シンプルな実行は、人のシンプルな心と強靭な努力よって生まれるのだと思う。
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