本山勝寛:まなブロ

独学で東大、ハーバード大学院に合格し、国際教育政策修士課程修了。アジア最大級の国際NGOである日本財団で、教育や福祉、NPO支援に携わり世界中を駆け回っています。日本と世界に「学びの革命」を起こすべく、学びのススメを綴ります。 『最強の独学術』https://www.amazon.co.jp/dp/447979610X/

奨学金金利3%「借金漬け」という誤報とレッテル

2月11日、Yahoo!ニュースのトップページに、「奨学金 借金漬けの人生出発点」「大学というブラックビジネス 人生のスタートから借金漬けになる学生たち」という記事が掲載されていた。武蔵大学社会学部教授の千田有紀氏によるYahoo個人の記事がヤフートピックスにピックアップされたものだ。この記事のなかで、二重に残念な点があり、ヤフートップページの影響力を鑑みて、指摘しておきたい。

まず第一に、千田教授が記事のなかで書いている、日本学生支援機構の有利子奨学金金利だが、「金利は3パーセント」というのはあくまで上限値だ。実際には市場金利に合わせて金利設定され、変動利率の場合がここ数年は0.3%前後、固定利率でも1%前後だ。最近はさらに低金利になっている。

千田教授は「現在私が借りている住宅ローンは、変動金利とはいえ、金利が1パーセントを超えたことはない。住宅を購入するための金利をはるかに超える金利が、教育を受けるために課されている。驚くべきことではないか。」と述べているが、実際には、変動を選ぶと学生支援機構の有利子奨学金の方がはるかに金利が低い。また、奨学金には有利子のものだけでなく、無利子のものもある。

この上限値3%を現在の実際の金利としてあたかも事実として誤報するケースは、以前にも私が指摘した「奨学金はサラ金よりも悪質」という週刊金曜日の記事をはじめとして少なくない。今回のように、ヤフートップで報じられることで、若者が誤解してしまわないように願いたい。千田教授とYahoo!はぜひ訂正記事を再度トップページに掲載していただきたい。

もう一つ私が懸念するのは、この種の論調が筆者の意図とは別に、奨学金を借りて大学教育に投資をした若者たちに「借金漬け」というレッテルを張っているのではないかという点だ。奨学金問題を偏って語る論者は、「私はかわいそうな学生たちの味方」というような顔をして、住宅ローンを組んでいても借金漬けとは言わないのに、奨学金利用者にはそのようなイメージを植えつけて、結果的に結婚その他を不利にさせてしまっている。

以前、電車の中で若い女性が「彼氏が奨学金の返済を数百万かかえているのでとても結婚などできない」と話していたというツイートが話題になったが、奨学金=借金漬け=結婚できないという短絡的なレッテルが結果的に差別をうんでしまっているのではないだろうか。住宅ローンが返済可能な計画で借金しているのであれば、結婚家族生活に支障がないように、奨学金も定職に就いて滞納せずに返済しているのであれば大きな問題はないはずだ。

奨学金問題はとかく、事実を曲解したり、短絡的なレッテル貼りや、感情的な批判に陥ってしまいがちだ。冷静に全体像を分析し、現実的な改善策を一つ一つ積み重ねる必要がある。

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