本山勝寛:まなブロ

独学で東大、ハーバード大学院に合格し、国際教育政策修士課程修了。アジア最大級の国際NGOである日本財団で、教育や福祉、NPO支援に携わり世界中を駆け回っています。日本と世界に「学びの革命」を起こすべく、学びのススメを綴ります。 『最強の独学術』https://www.amazon.co.jp/dp/447979610X/

安倍首相のスピーチ力

安倍晋三首相の米国議会におけるスピーチが話題となっている。メディア上の話題は、「慰安婦に対する言及がなかった」「謝罪がなかった」というものが多いが、議会でのスピーチ映像の様子をみると、スタンディング・オベーションが幾度となく起きたように聴衆の心に届いたスピーチであり、そのスピーチ文もよく練られたものだったといえよう。

安倍首相のスピーチは、今回に限らず何かと話題になってきた。批判を受けることもあるが、総体的にみるとその評価は高い。歴代首相のスピーチがほとんど話題にもあがらないのとは対照的だ。

安倍首相のスピーチ力が比較的高いのは、そのチーム力によるところが大きいように思う。特に、スピーチライター的な役割を担っていると言われている元日経BP谷口智内閣官房参与の存在は、これまでもメディア上で話題になってきた。これまでの歴代首相のスピーチは担当官庁の各部署が作文したものをつなぎ合わせ、日本がどんな政策をやってきたかを羅列するだけの役人答弁を翻訳しようなものが多かった。しかし、安倍首相のスピーチは、「アベノミクス」や「積極的平和主義」、「ウーマノミクス(女性の活躍)」、「平和の海」といった、より大きなピクチャーやビジョンを提示したうえで、政策や実績について語っている。今回も、「希望の同盟(Alliance of hope)」という日米同盟のピクチャーを、「民主主義」や「自由」、「人権」、「価値」、「夢」、「未来」といったキーワードを絡めながら導き出している。

また、聞き手である聴衆のことを研究し、聞き手が受け入れやすい歴史やエピソードを語ることが多い。今回のスピーチでは、第二次大戦の歴史に対して以下のように言及しているが、聴衆がアメリカ国民の代表であることをよく踏まえたものだといえよう。そして、「お詫び」や「謝罪」という言葉を避けながらも、「deep repentance(深い悔悟)」や「eternal condolences(永遠の哀悼)」という表現を使い、米議員たちに共感を呼んだ。

Pearl Harbor, Bataan Corregidor, Coral Sea.... The battles engraved at the Memorial crossed my mind, and I reflected upon the lost dreams and lost futures of those young Americans.

History is harsh. What is done cannot be undone.

With deep repentance in my heart, I stood there in silent prayers for some time.

My dear friends, on behalf of Japan and the Japanese people, I offer with profound respect my eternal condolences to the souls of all American people that were lost during World War II.

もちろん、安倍首相の英語がもっと流暢で、途中でつっかえたり、原稿に目を落とす回数が減れば、より効果的なスピーチになることは当然だ。しかし、これだけ注目が集まり、また中国韓国をはじめ批判的な視線が集中するなかで、言葉の使いまわしから全体の構成まで考え抜かれたスピーチ原稿であり、安倍首相本人も力をこめて語りかけたよいスピーチだったと私は感じた。

英語が苦手だからといって臆することなく、海外に対しても積極的に自らのビジョンを発信する日本人が増えれば、世界はより日本を理解し、日本は世界に対してもっと貢献することだできるだろう。

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