まなブロ by 教育イノベーター本山勝寛

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団子どもサポートTチームリーダー兼人材開発Tチームリーダー。『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』 『最強の独学術』等著書多数。

これからの時代に重要な力「好奇心」

Yahoo!ニュースのトップページに『たまひよ』のインタビュー記事「貧しい家庭から独学で東大、ハーバードへ 5児の父が実践する子育てのための時間管理」が掲載され、たくさんの反響やコメントをいただいているので、改めて私自身の人生が「好奇心」を原動力に可能性の扉が開かれてきたこと、これからの時代に「好奇心」がより重要になってくることについて書いてみたいと思います。

news.yahoo.co.jp

好奇心が東大・ハーバード合格の原動力

私は小さい頃から塾に通ったことがありません。小学校から高校まですべて公立校です。親から勉強しろといわれた記憶はほぼありません。

10歳くらいまでは、のんびりと自由に育ち、毎日外で友達や兄弟と一緒に遊びまわっていました。外で見つけ出したクワガタを家で虫かごに入れて飼い、それを図鑑の知識と組み合わせて自由研究にしたりしました。

f:id:theternal:20210324061510j:plain

また、毎日野球やバスケットボールなどをして遊びながら、応援する中日ドラゴンズの選手の打率や防御率などを計算したり、マンガ『スラムダンク』に出てくるバスケットボールの技術を練習しながら、どうやったらうまくなれるかといったことばかり考えたりしていました。

家にテレビゲームはないので、何かおもしろいことはできないかと考えては遊ぶ毎日の繰り返しです。子どもらしい毎日ですが、自分が好きなこと、気になったこと、興味を持ったことをじっくりと自分で考えて取り組む生活でした。

早くに母が他界し、アルバイト生活

10歳になって、母が癌になって療養生活が始まり、12歳で他界しました。その頃から、人はなぜ死ぬのか、限られた期間のなかで生きる意味ってなんだろうか、といったことも考えるようにもなりました。家計を支えるために新聞配達も始めました。

高校生になると、父親も途上国への慈善活動のために家からいなくなり、アルバイトをしながら自分と妹だけで自活する生活になりました。家がかなり貧乏で、光熱費の請求にも困るくらいでしたから、なんで我が家はこんなに貧乏なんだろうと疑問に思ったり、将来のことに悩んだりしました。

生活費のために毎日アルバイトをしていたので、塾に通うことはありませんでした。どちらかというと、「なんで勉強なんてしないといけないんだ」と、世の中の常識に対して斜めに構えていました。

満天の星空に好奇心が爆発

そんな折、友人や先輩たちと全国のキャンプ地を旅する機会がありました。北海道のキャンプ場で見た満天の星空と壮大な夕焼けの美しさに心を奪われ、「何十億年も前に放たれたはるか遠くの星の光が、いまこの瞬間自分に届いているってどういうことなんだろう?」「宇宙の果てはあるのか、どうやって始まったんだろう?」「いつもは青い空が夕方に太陽が沈むと、こんなに赤く染まるのはなぜなんろう?」そんな疑問が次々と湧き上がり、自分のなかの好奇心が爆発する感覚を覚えました。

それから、図書館に通うようになって、宇宙物理学から哲学の本、それに『竜馬がゆく』などの歴史小説も読むようになりました。天文学や宇宙物理学に興味を持つようになったことと、明治維新のように、世の中をよくするために社会を変えるリーダーになりたいという曖昧だけど強い想いが湧き立って、「東大に行きたい」というはっきりとした目標ができました。私が猛烈に勉強するようになったのはそれからです。高校3年になる前の春でした。

自分なりに見出した決めた道だからこそ最後までやり抜く

誰かに押し付けられたものではなく、自分自身が好奇心の赴くままにセカイを見つめ、自分なりに見出した道や生き方を貫くことで、いったん決めたことは最後までやり抜く力を身につけていったのだと思っています。それは、他人から見ると、亀のようにゆっくりとした歩みだったかもしれませんが、自ら学び続けるという少しずつだけど着実な成長があったからこそ得られた力でした。 

親から好奇心の芽を摘まれずに、自らも様々な機会を通して好奇心を刺激し、そこから湧き出るものを力に変えていったからこそ、現在の自分があります。お金がなく塾にも通わず一年間の独学で東大に合格したことも、英語が苦手でも日本を飛び出してハーバード大学院に合格したことも、その原動力は好奇心だったと断言できます。

小さい頃の自分と同じように、様々な困難に直面する子どもたちを支え、子どもたちの可能性の扉を開きたいという一心で、「子ども第三の居場所」を全国に500拠点つくるという現在の日本財団の仕事に邁進していることも、やはり好奇心や幼少期の体験が原動力となっています。

 

好奇心は内から湧き出る学びのエンジン

好奇心は、内から湧き出る学びのエンジンです。一度火をつければ、他人が止められないくらいの力を発揮します。自らの内にエンジンを搭載するのか、いつまでも他人から押してもらわないといけないクルマ(つまりおもちゃのクルマ)に乗っているのかの違いです。

全ての教育プログラムや塾が用意されている高校卒業までは、他人に押してもらっていてもその差に気づきにくいかもしれませんが、大人になれば、エンジン搭載の「自動車」なのか、おもちゃのクルマなのかで、月とすっぽんくらい大きな差が生まれるのです。

変化のスピードが激しくなり、AIが社会に普及していくなかで、既存の知識よりも新たな発想や常に学び続けることが求められる時代になっています。学びのエンジンとなる「好奇心」は、これからの時代において欠かせない、非常に重要な力になるといえるかと思います。
(※本記事は『好奇心を伸ばす子育て』が抜粋編集して掲載しています。)

 『好奇心を伸ばす子育て』もご一読いただけましたら幸いです。

f:id:theternal:20210324061307j:plain