Amazonなどでベストセラーにランキング入りしている『漫画 君たちはどう生きるか』を読んだ。たかがマンガとあなどってはいけない。読みながら何度か涙するくらい心動かされた。
言わずと知れた吉野源三郎の古典的名著『君たちはどう生きるか』を原作にマンガ化した作品だ。原作自体が長く読み継がれる力ある名作だが、そのメッセージを現代にいきいきと蘇らせくれている。ページに魂が宿っており、マンガとして、書籍として一級の作品だ。
少年コペル君が、死にたいと思うほど失敗し、後悔で寝込んでいるところに渡されたおじさんのノート。そこにはコペル君とおじさんとのやりとりが記されていた。そのノートにはコペル君が生活のなかで考え、発見し、おじさんと話したことと、おじさんからコペル君へのメッセージが残されいる。そして、全ページを通して貫かれているテーマが、「君たちはどう生きるか」という問い。
漫画家は羽賀翔一氏。決して著名とはいえないが、『宇宙兄弟』や『ドラゴン桜』など数々のヒットマンガを手掛けたカリスマ編集者、佐渡島庸平氏が起業したコルクに所属する漫画家だ。おそらく、この作品にも佐渡島氏がなんらかのかたちで関わっているのではないだろうか。その点でも大ヒットの予感がする。
私は、マンガを通した楽しい学びを、いろんなところでお薦めしている。本作は、まさに古典的名著を楽しく学べるマンガであり、大人にも子どもにも普遍的問いを真剣に考えさせてくれ、なおかつエンターテインメントとしても仕上げられている名作だ。
書店でもベストセラーになる予感がするが、ぜひ全国のすべての学校図書館に置いて、多くの子どもたちに読んでほしい作品だ。幸いにも、「これも学習マンガだ!」のプロジェクトを始めたことがきっかけに、学校図書館にマンガ作品を置く流れが加速しはじめている。
君たちはどう生きるか?
日本中の子どもたちが、そして大人が考え続けるべき問いだ。
マンガを通して教養を深め、ひろげる「マンガ独学術」は、拙著(最強の独学術』でも詳しく紹介しています。