「ブルハ結成30年、今なお影響力」という記事がヤフートピックスになっていて、ブルーハーツが結成から30周年を迎えたことを知り、感慨深いものがこみあげてきた。僕は、ブルーハーツが大好きだ。人生で大切なことはブルーハーツから学んだ、と真剣に思っている。
僕は12歳で母が死んで、15歳で父が慈善事業で途上国に飛び、高1の秋から親が家にいない生活が始まった。甲子園を目指していた野球は涙をのんで辞め、毎日アルバイトをして家計を支えることになった。時給580円で月6万円以上稼いだ。親のいない貧乏生活が不安だったことは確かだが、それまでお小遣いをもらったことがないので、初めてまとまったお金が自分の手に入り、うれしかった。そこで初めて自分で買ったのが、ブルーハーツのCDだった。
バイトが終わるのは10時半ごろ。夜の道を思いっきり歌いながら、チャリンコをこいで帰った。歌うのはもちろんブルーハーツ。バイト帰りにはよく「ロクデナシ」を叫んでいた。
バイトは高校で禁じられていた。進路面談に来る親なんていなかった。学校指定の問題集を買う金がなかった。全てが人と違っていた。そんなはみだし者でも、いいじゃないか。全てのぼくのようなロクデナシのために、この星はグルグルと回っているんだ。世界は明るく見えた。
そんな僕は、学校の成績がグングン下がっていた。バイトで時間がなかったのも確かだが、勉強はやらされる格好悪いもの、と思っていた。格好悪いことはやりたくなかった。でも、自分の「夢」がなんなのか、真剣に探した。
そんな本物の夢を探しているうちに、これはどうしてもやりたいとフツフツと思い込むようになったのが、「東大に入って、日本を変える」という妄想だった。当時は学校の成績も下のほう、模試判定も「合格可能性なし」だった。絶対無理だと言われた。
受験勉強のためバイトもやめて、家の収入は文字通りゼロになった。知人の米屋からもらう米と、スーパーで安売りされたキャベツで飢えをしのいで、1日14時間勉強した。勉強の合間には、もちろんブルーハーツを聴いた。「ブルーハーツより愛をこめて」とか。
僕は、塾にも有名私立高にも通えなかった。でも、人生で大切なことは、ブルーハーツから学んだ。
当時、そのバンドは既に解散していたが、僕は貪るようにその歌と言葉を噛みしめた。
僕、ブルーハーツが好きだ。中途ハンパな気持ちじゃなくて。本当に心から好きなんだ。
結成30周年、おめでとう。「はみ出し者」より愛をこめて。
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