確定申告が終わり、配偶者控除見直しの議論が熱くなっているなか、桜が咲き入学の季節が始まるので奨学金問題について考えてみた。端的に提案したい。日本学生支援機構などが行う貸与型奨学金の毎年の返済分を、所得税や住民税の所得控除に算入できないものだろうか?継続的な返済へのインセンティブにつながるし、奨学金貸与者の負担軽減になる。
貸与型奨学金の滞納者が近年増えていることを背景に、奨学金制度そのものや日本学生支援機構を「詐欺」だとか「サラ金よりもひどい」だとか批判している方々もいるが、問題の本質はそこにはない。ここ十数年、日本人の平均給与は下がっており、大卒でも雇用が安定しないなか、大学授業料は上がり続けており、教育費の負担が高まっていることがその原因の一つだ。授業料減免や給付型奨学金を拡充させることも検討すべきだが、大幅な拡充は予算措置が難しいのも現実である。
そうであるなら、コツコツと返済している人がその返済分を所得控除できるようにすることで、返済の負担、すなわち低中所得層の生涯における教育費負担を軽減させることが考えられる。たとえば、月に3万円返済していたら、年に36万円で、これは配偶者控除の38万円のほぼ同額になる。これが所得控除となることで、たとえば所得税率10%なら3万6千円の減税になる。
医療費や生命保険、寄付金はこういった所得控除が可能である。低中所得層の高等教育支援は格差固定を是正し、教育を受けた人の生涯賃金・納税額を引き上げ、長期的には税収を伸ばすことにつながる。また、返済することにプラスのインセンティブが働けば、返済率のさらなる向上も期待できる。少なくとも、住宅ローンの税額控除よりもはるかに社会的意義が明確であるように思う。
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