本山勝寛 SNSフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

出産祝い金500万円のソフトバンク方式、月額払いの子供手当、少子化対策に効くのはどっち?

第三子の出生届を出した。私の住む渋谷区ではハッピーマザー出産助成金8万円が出るので、出費がかさむ出産時に助かる支援だ。同時に児童手当の手続きも済ませ、これで4歳の長男分1万円、2歳の長女と次女分がそれぞれ1万5千円、合計月4万5千円を手当としていただくことになる。大変ありがたい話である。今日はこのような出産祝金や児童手当の少子化対策に対する効果について考えたい。

まず児童手当だが、第一、第二子は三歳まで月1万5千円、三歳から中学卒業まで1万円の支給がある。総額にすると約200万円だ。(生まれた月によって異なる)第三子以降は三歳から小学校卒業までも1万5千円なので、これに54万円足されて約250万円になる。月額だとありがたみを感じにくいのだが、総額にするとけっこうな額である。

次に出産祝金の例を考えるのに、数年前に世間を驚かせたソフトバンクの事例をみてみたい。ソフトバンクグループでは、第1子5万円、第2子10万円、第3子100万円、第4子300万円、第5子500万円の出産祝い金を社員に支給している。特に第五子の500万円は世間の度肝を抜いて話題になった。私の家族は五人兄妹なので、親がソフトバンクで働いていたらと悔やんだものだ(笑)。この祝金、実際に2011年度は、第1〜2子は約630名、第3〜5子は約55名に支給したとのこと。

さて、ソフトバンクの気前のよい出産祝金は、社員が子どもを産むインセンティブになっているのだろうか?過去のCSRレポートを読むと、2007年度は、第1子~第2子は約400名、第3子~第 5子は約30名に出産のお祝いとして支給したとある。全体で430名から685名に増えたので255名、約6割増加したことになる。第三子以降に限るとほぼ倍増だ。この間の社員数が微増であることを考えると、効果があったといえるのではないだろうか。もちろん、同社はこれ以外にも、二歳までの育休や小学校3年生までの時短、5日間の配偶者出産休暇など、子育て支援策を充実させているので、それらの総合的成果ではあるだろう。

ソフトバンク方式の肝は出産祝金として、第三子なら100万円、第五子なら500万円と、総額をドーンと支給するところにある。人間、ゲンキンなもので(決してソフトバンクの社員さんのことを言っているわけではありませんのであしからず)、一気に大金がもらえるとなると、がんばってしまうものだ。実際に、子どもを産む若年世代は一般的に給料がまだ上がる前なので、その時期に給付されるのは後での支給よりも助かるのではないだろうか。

一方、月額1万円なが〜く支給しますよ、という児童手当方式はどうだろう。近年、出生率は微増しているものの、増加分はほんの少しであるし、児童手当効果かどうかは疑わしい。実感として、児童手当は、生活の足しになって助かるのだが、子どもを産むインセンティブとしてプラスに働くという感覚はない。

それよりも、どうせ同じ額なら、ソフトバンク方式のように、出産時に一気に200万円なり、250万円なりをドーンと支給するほうが、少子化対策には効果があるのではないだろうか。それが人間の性というものだ。また、毎年所得額を確認し、毎月(実際には年に4回)振込作業を行う行政コストも抑えられる。少なくとも、受け取る側がどちらか選択できるようにするというのはいかがだろう。

おそらく、児童手当を月額で示しているのは、総額の200万円なんて言ったらバラマキと批判されるからと、0歳から中学卒業までを対象にすれば、出産を迎える人よりも対象者が多いので、より票になるからだろう。そんな政治的な思惑よりも、少子化問題という国の将来が危ぶまれる事態をいかに解決するか真剣に考えて、より効果的な政策を打つべきだ。

もちろん、いきなり児童手当を廃止して出産祝金方式にすると不公平になるので、既に生まれている子どもには児童手当を、これから生まれてくる子どもには祝金を支給すればよいだろう。やや暴論かもしれないが、どうせ支給されるなら200万円早くほしいという方は少なくないのではないだろうか。結婚、出産を足踏みしている若年世代の支援にもつながるように思う。

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