日本人の英語力、特にリスニング力とスピーキング力の弱さはいつも指摘されるところだ。私自身も、小学校から大学卒業まで日本の公立学校で英語を学んできた者として、例にもれず両者が大の苦手だ(った)。たとえ東京大学に合格するレベルだとしても、まったくもって使える英語ではないのである。
ETSが公開しているTOEFLの各母国語別の平均スコア(2011年)を見てみても、そのことがうかがえる。アジアの主要国の平均スコアは以下の通りだ。
- シンガポール99
- インド92
- マレーシア89
- バングラデシュ82
- 香港82
- 韓国人82
- ネパール79
- インドネシア78
- 台湾77
- 中国77
- ベトナム76点
- タイ75
- モンゴル73
- ビルマ(ミャンマー)72点
- 日本69
- ラオス68
- カンボジア66
まさに日本は最下位レベルといえる。他の国々は受験者数の母数が少ないのではという指摘も考えられるが、日本以上に受験率が高いであろう韓国の82点と比べても大きな差を開けられている。日本よりも低いスコアの国は、世界に広げて探してみてもほとんど見つけられない。これが、日本人の英語の実力であり現実だ。
まずもってこの現実を直視しなければならない。
では、この現実を打破するにはどうしたらよいのだろう。個人レベル、学校レベルでいろいろとやるべきことはある。私自身は、YouTubeなどの無料で生の英語動画を積極的に活用することを訴えてきた。
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しかし、一番手っ取り早く、日本社会全体に対して効果的に働く方策がある。
それは、大学入試にTOEFLを導入し、高校英語でもTOEFLを念頭に指導することだ。
最新のiBT形式になったTOEFLは、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4つの能力をバランスよく評価するため、その対策をするなかで自然と実践的な英語が修得できるようになる。それに、内容も大学で学ぶ学問を前提にしているので、大学入試や高校英語にとってもふさわしい。さらに、TOEFLを受験するようになれば、これまで日本の大学しか視野になかった日本の高校生が、プラスアルファの準備で海外の大学を目指すことができるようになるので、視野と選択肢が広がる。その結果、競争原理によって日本の大学の努力も促されるだろう。
あまり現実的でないと考える人もいるだろうが、文科省ですらも、昨年6月に発表した「大学改革実行プラン」の1つとして「入試におけるTOEFL・TOEICの活用・促進」を謳っている。
まずは東京大学や京都大学などの旧帝大から始め、慶応や早稲田などの私大も導入してみてはどうだろう。秋入学制度を導入するより、現実的かつ効果的であり、コストパフォーマンスも高い。しょせん世界最下位レベルの英語力のなかで、今さら各大学独自の英語試験を誇っていてもしかたがない。英語を学ぶ目的が、世界で闘う前提条件を得るためならば(もう少し柔らかく言うと、世界各国の人々とコミュニケーションをとれるようにするためならば)、当然、世界のスタンダードの指標で学ぶべきだろう。
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下村大臣、濱田総長、ぜひ真剣な検討を願います!
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