6月をもって、広報から国際協力グループへ異動になりました。
今後は、主に世界各国のハンセン病制圧事業を担当することになります。
日本財団に入ってから4年弱、広報担当として仕事に従事し、非営利団体の広報という日本では珍しい職種で自分なりに様々なことに挑んできました。
気持ちとしては所属する日本財団の広報に留まらず、日本を代表する非営利団体の一員として、「社会貢献事業の広報マン」という想いをもって務めてきました。また、日本のNPOをいかにしてプロフェッショナル化するかをテーマに、自分の仕事を見つめてきました。
入会当時の2007年から今日まで、日本の社会貢献事業を取り巻く環境は少しずつながら徐々に、そしてここにきて大きく変化しているように感じます。
近年、社会起業家と呼ばれる若いNPO創設者や社会的事業に取り組む起業家が注目されはじめています。
また、企業のCSRが認知されるようになり、SRIという社会的責任投資の概念が日本でも聞かれるようになりました。
政府も「新しい公共」という概念を中心に、NPOや市民団体が担う社会的役割に注目しています。
寄付税制改正の動きや日本ファンドレイジング協会、チャリティ・プラットフォームの創設もあり、日本財団でもファンドレイジングの本格化や芸能人とのチャリティー・プロジェクトなどを模索してきました。
そして、この流れと時を同じくして、ソーシャル・メディアが台頭し、NPOの活性化・プロフェッショナル化に重要な役割を果たしつつあります。
私自身、入会当初は公式ブログ開設から1年が経ち、ブログ機能を含む公益ポータルサイトCANPANをいかに活性化するかに頭を悩ませました。
その後、YouTubeの日本語サービスが始まった頃、財団でも公式チャンネルを立ち上げ、500以上の動画配信を手がけてきました。欧米の国際NGOと比べると動画発信も貧弱な日本のNPOがなんとか動画という訴求力のあるツールを活用できるようにと、NPOや市民団体、個人、映像系学生らが参加する日本ドキュメンタリー動画祭を企画開催しました。
また、Twitterの公式アカウントも2010年に開設。当初は手探り状態でしたが、現在ではフォロワー数も4500を越え、重要な情報発信、コミュニケーション・ツールになっています。今後はFacebookも重要なツールになるでしょう。
ソーシャル・メディアは既存の広報業務とは異なる、新しい「メディア」です。新聞やテレビに取り上げられるのに比べ、効果が分かりくい地味な取り組みですが、今やNPOにとっては必要不可欠ともいえる重要な機能になっています。マスメディアとソーシャル・メディアを組み合わせた「共感」によるコミュニケーションこそ、NPOが成長する鍵となるでしょう。
それは、今年3月11日以降、より明らかになったと思います。
日本に未曾有の災害が発生し、NPOなど非営利団体の活動が今まで以上に社会的にクローズアップされています。
マスメディアでも多くのNPOやボランティアが取り上げられていますが、それに肩を並べるくらいソーシャル・メディアの影響力も高まっています。寄付やボランティア募集の周知、パートナーシップの拡大など、ツイッターが高い効果を発揮し、ツイッター上での反響がマスメディアを動かすことも少なくありません。
3・11で多くの尊い命が失われました。その命に報いるためにも、残ったものたちが自分たちの社会的使命を今まで以上に追求すべきだと感じます。
非営利団体の広報という立場で、この日本社会をときに内側から、ときに外側から4年間見つめてきて、そのことを強く感じます。
今後も、今まで以上に大きな変化があると思いますが、公共を担う一人一人が、変化に着いていくだけでなく、変化を創り出すChange Makerになることを願います。
私自身も新しい立場でがんばってまいります。