アマゾンのランキングは定期的にチェックするのだが、今週末は意外なものが30位台にランクインしていたので驚いた。
ヒトラーの著作である『わが闘争』の漫画版だ。イーストプレスが『ファウスト』や『君主論』など世界の古典を漫画化しているシリーズで、私も古本屋で立ち読みをしたことがある。作品そのものを読んだ人間にはやや物足りなかったりつっこみたい部分はあるが、シリーズ全体の企画としては大変おもしろい試みだと思う。漫画を読書の入り口にするという拙著『マンガで鍛える読書力』と趣旨を同じくするものだ。
それにしても、なぜ今わが闘争?と思い、理由を知りたくて検索したら、「売れる「わが闘争」漫画版 苦言も「歴史資料」の声も」という朝日の記事がヒットした。「わが闘争」が同シリーズのなかでも売れており、批判も含めて海外からの反響も大きいという内容だ。
既にアマゾンに飛び火しているが、この朝日の記事でさらに反響を呼ぶかもしれない。何かの話題が関心を呼び、より深い議論や理解に進むことはよいことだと思う。漫画では描き切れていないヒトラー本人の『わが闘争』原作も読んだ方がよいし、他の関連本を読むのもよいだろう。読書はそのように進んでいくものだ。関連おススメ漫画としては、『マンガで鍛える読書力』でも紹介した水木しげるの『劇画ヒットラー (ちくま文庫)』もよいし、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』はかなりのおススメだ。