ミャンマー最大の聖地と僧院教育
ミャンマー最大の聖地「シュエダゴォン・パゴダ(パヤー)」を視察。
巨大な敷地内には無数の仏塔と仏像が並ぶ。中央にそびえたつ最長の塔の高さは約100m、すべて金箔で飾られ、その最上部には74カラットのダイヤをはじめとする無数の宝石がちりばめられている。そのスケールに圧倒されると同時に、自然とすいこまれてしまうようなパワーを持っている気がした。平日の早朝にもかかわらず、老若男女たくさんのミャンマー人が祈りをささげに訪れていた。
軍政の暗いイメージとは裏腹に、大部分のミャンマー人は温厚で敬虔な仏教徒のようだ。この国の生活には仏教が溶け込み、息づている。ミャンマー人の話しによると、学校の夏休み3ヶ月間に、親が子供を僧院に送り、釈迦やお経の勉強を徹底的にさせるという。仏教は彼らにとってごく自然な当り前の価値観なのだ。興味深いのが、宗教教育以外にも僧院が周辺地域の学校教育を担ったり、都市部でも学校を補っているというのだ。僧侶が教える以外に、僧院で学校の先生や大学生などがボランティアで教えている。これを「僧院教育」と呼び、ミャンマーの教育にとって欠かすことができない機能だという。日本の寺子屋のような感覚だろうか。
純粋な信仰心が国の統治に利用されてはいないかという懸念もあるが、現地の特質とともにできあがった面白い教育事情のように思える。最近、僧侶グループによる圧政への抗議デモが国際的にも話題になったが、ミャンマーがもし変わるとするのなら「その辺り」からなのではないかと、ミャンマーの人々が膝を折り手を合わせて祈る姿を通して感じさせられた。