伊藤隆敏東大教授がハーバードで講演(セミナー)した。
日本を代表する経済学者であり、ハーバードでPh.Dを取得された方でもある。
ノーベル経済学賞受賞者でもあるケネス・アローに師事し、ハーバード前学長のサマーズとも同僚だったそうだ。
だが、セミナー自体はこじんまりとたんたんと行われた。
来訪者は30人くらいで7割くらいが日本人だったと思う。
テーマは日本の失われた10年と最近の景気回復における経済政策。
日本の景気回復の動きは、かつての高度経済成長期と比べるといたって静かだ。
ハーバードで、ワシントンで、どれほど注目されているのだろう。
夜も眠れなくなるような話は、ここではやはり聞けなかった。
それに比べると、日本のポップカルチャーは元気がいい。
今、MITとハーバードが共同で、COOL JAPAN 2007なるものを開いている。
日本のアニメ映画(『時をかける少女』)が上映され、監督がトークするだけでなく、教授陣もパネリストとして参加している。MITで開催されたパネルディスカッションの一部に参加したが、ポケモンやPS2、MATSUZAKAについて、政治学の教授たちがソフトパワー理論やグローバリゼーション論とからめて熱く語っていた。ほかにも、アフロ文化とジャパニーズクールの融合など、興味深い内容も多い。
“JAPAN’S GROSS NATIONAL COOL”(ダグラス・マックレイのForeign Policy掲載論文)が発表されて久しい。
しかし、果たしてそんなものが存在するのか、それが世界史にどう位置するのか、僕はまだ掴めない。
教科書に載っているルネッサンスの意義であるとか、ベンヤミンが『複製技術時代の芸術』を説いたようには、うまくパズルがはまらない。
日本は世界に何を発信するのだろう。
日本は世界に何ができるのだろう。