ハーバードに初の女性学長(President)が誕生します。(ニューヨークタイムズ記事)
恥ずかしながら、現地にいながらも日本語ニュースで初めて知り、そのあと大学のメールボックスを見たら、いたるところからメールが来ていました。
ドゥリュー・ギルピン・ファウスト(Drew Gilpin Faust)
現ラドクリフ研究所の所長(Dean)です。
ラドクリフといえば、あのヘレン・ケラーが学んだ女子大が、最近ハーバードに吸収されたところです。我が教育大学院の隣にあります。教育大学院も学生の女性率が約70%で、学部長が女性ということで(あとハーバードの学部長が女性なのはロースクール)、ラドクリフと合わせてハーバード女性人材の牙城的な感があったのですが、遂に来ましたね。
今回の人選の背景に、サマーズ前学長の理科系学問に関する女性差別発言(?)と更迭の傷跡を縫うといった意図ももちろんあると思います。また、ヒラリー・クリントンがアメリカ初の女性大統領候補として名乗りを挙げているように、「女性の時代」という歴史の潮流を感じなくもないです。
ハーバードの学内報でも、ジョセフ・ナイ教授のソフト・パワーを参照しながら、ハーバードの次の学長は、男性にしろ女性にしろ、女性的な(Feminine)リーダーシップが求められるということが述べられていました。ナイ教授もインタビューの中で、大学の学長は、軍隊や会社の会長のようにハードパワーをそんなに持っているわけではないと言っています。
財務長官だったサマーズ前学長が、大学の基金運営やマネジメント、奨学金制度などでリーダーシップを発揮した(中岡望氏の関連記事)のに対して、ファウスト新学長はイメージやサービス戦略を取っていくことになるのでしょうか。
彼女自身は、歴史学者で、米南部歴史の研究者のようです。
女子大の名門ブリンマー大学(Bryn Mawr College)で学部を卒業しています。津田梅子が学んだ大学ですね。僕の妻も津田塾で学んだので、ちょっとだけ縁があります。
僕はこれが「女性の社会進出」や「男女平等」といった一面的な話ではなく、組織・国・世界のリーダーシップにおけるパラダイムのダイナミズムを象徴するものであると感じます。
そして、それが「世界の中の日本」「日本のリーダーシップ」において、意味するものは何なのか、考えていきたいです。(参考までに過去の日記)