本山勝寛 SNSフォーキッズ代表 公式ブログ | Katsuhiro Motoyama's Official Blog

教育イノベーター本山勝寛の学びのススメ日誌。極貧家庭から独学・奨学金で東大、ハーバード大学院に通い、国際教育政策修士課程修了。日本財団で教育、国際支援、子ども支援事業に携わり、EdTechスタートアップを起業。 子供向けSNSフォーキッズを立ち上げる。『好奇心を伸ばす子育て』『最強の独学術』等著書多数。6児父4回育休。

プロフェッショナルスクールと学術系大学院

あまり詳しくはないんですが、自分が専攻探しのときに最初理解できずに苦労した、アメリカの大学院事情について触れてみたいと思います。

アメリカの大学院は大きく二つに分類できると思います。

1)学術系の研究を主とする大学院

2)プロフェッショナルスクールと言われる、専門職養成大学院です。

1)は日本で想起する大学院とほぼ一致するもので、だいたいドクターまで進み、研究者になる人が進みます。
2)はこれまでの日本の教育事情では理解しにくいところがあります。
有名なのは、ビジネススクールロースクールといった、経営者・ビジネスマンや法曹人を養成する大学院がそれにあたります。
大学院だからといって、経営学や法学の先端研究を行うわけではなく、実社会の中で実践的に使えるスキルや知識、素質をみがくことになります。
したがって、(学術的)修士論文も提出する必要がない場合が多く、代わりにプロジェクトなどをしたりします。
プロフェッショナルスクールは、他にも、行政学、医学、歯学、神学、教育、工学、デザイン、福祉、看護など様々あり、同様に研究者よりも、実践的な専門職(官僚、医者、牧師、教師、学校経営者、エンジニア、デザイナー、ケースワーカー、etc)を養成します。

僕の行っていたSeminary(神学校、Divinity School)も、プロフェッショナルスクールの一つですし、これから行こうとしている教育専門大学院(School of Education)も同様です。

これらプロフェッショナルスクールのもう一つの特徴として、入学審査のときに、職歴を重視するということです。
入学者のほとんどが、関連する分野で数年(3年以上)の職歴を持ち、入学審査のときにはRejume(履歴書)やEssayでそれをアピールすることになります。
したがって、そういった関連分野での職歴がないと、入学に不利になることになります。
大学の学部を卒業したての「学生」がMBAビジネススクール)に入ることは難しいわけです。
(一部、ずばぬけた成績と学術業績や、学生時代に起業したなどの豊富な経験があると別ですが。)

これは、アメリカのもつ、職歴やキャリア、実践的な経験を重視する実践主義・経験主義の文化から来ているものだと思います。

しかし、僕はこれが最初あまり理解できずに、理解できてもその重さが分からずにいました。
それもあって最初に自分が専攻に選んだのが行政大学院の国際開発でした。
職歴なしで、その専攻に挑むことが無謀なことはあとで理解します。
入学要件に「2〜3年以上の関連する職歴」という項目が明記されていることの重さを知るわけです。

その後、自分は教育大学院を将来の専攻として選びました。
プロフェッショナルスクールの中でも、職歴を入学要件としてあげていない、という点も大きかったです。
職業に直結する(俗な言い方をすれば就職できる)実践的なところで、かつ職歴を問われないところがよかったというのが現実的な事情です。
もちろん、教育大学院に入る大部分が、教師をしていたり、教育系の仕事をしていたり、PEACE CORP(アメリカの青年海外協力隊)でボランティアをしていたような人が多いです。
例えば、ハーバードの教育大学院に入る人のデータは↓のようになっており

Age:
Ed.D. students: Range: 21-45 Average: 30
Ed.M. students: Range: 21-57 Average: 27

Years of Work and/or Volunteer Experience:
Ed.D. students: Range: 0-22 Average: 6
Ed.M. Range: 0-34 Average: 4

修士生の平均職歴年数は4年、平均年齢は27歳となってます。(最年長は57歳!)
その中で、職歴0、21歳の方もいますが。

ここから読めることは、関連する職歴があったほうが入学に有利だけど、なくても完全に追い払われるわけではないですよ、ということです。
実際に、過去のデータを調べてみると、職歴0で入った日本人留学生も何人かいました。
森田さんもその一人でしょうか?「留学生」ではないでしょうけど。

という感じで、アメリカの大学(院)事情を知ることは、専攻を決めること、そして入学のacceptanceをもらうことにもつながるのではないかと思います。
大学院留学を考えている方はよくよく調べて、留学先を決めることをおススメします。