これからの時代、創造性や好奇心、コミュニケーション力がより重要になってくることは間違いないでしょう。私はこれらをCreativity、Cruiosity、Communicationの頭文字をとって「3C」と捉えています。そして、「IQ」や「EQ」に次ぐ重要な概念として「CQ」がビジネス界や学界で世界的に注目され始めています。トーマス・フリードマンの『フラット化する世界』でもCQの重要性が語られています。
では、子どもの創造性や好奇心、コミュニケーション力の3Cを伸ばすには、具体的にどんな方法があるのでしょう?
創造性や好奇心を育むためには、読んで吸収するインプットだけでなく、自らが創り出して表現するアウトプットがより重要です。そして、子どもが子どもらしさをいかしながら、自由な発想で表現できるアウトプットの方法の一つとして絵本を創ることがあげられます。
私は子どもの頃、絵本をつくるという取り組みをしたことがとても印象に残っています。そのときは、ジャックの豆の木のような物語と雲の上で雷様が雨を降らすことを組み合わせて、水不足を救うという絵本を創作しました。自分にとって初めての本という「作品」でもあり、テストで高得点を取るのとはまったく質の異なる、いつにない満足感を得られた記憶があります。いつか本当に自分の創った本が書店に並んだらいいなあ、とぼんやりながら思うようになりました。
子どもにとって絵を描くことは比較的楽しい作業です。自分の好きなもの、想像をふくらませたことであればなおさらです。一方で、文章を書くのが苦手で嫌いな子はたくさんいます。多くの子どもたちの悩みの種である読書感想文はその最たる例です。
では、絵を中心にして、そこに短い言葉を組み合わせたらどうでしょう。好きな絵を描きながら、その絵が話し出すような感覚で文章を書いたらどうでしょう。自分の描いた絵が想像力を刺激して、自然とコトバが浮かんできやすくなります。そして、難しい文章にしなくても、絵がコトバを補助してくれるので、作品としてまとまりやすくなります。
小さい頃から「読む」ものであった絵本を、なんと自分でも創ることができてしまった!という達成感、満足感が目に見えるかたちで得られるのです。
私の子どもたちにもオリジナルの絵本をつくらせてみたことがあります。5歳の娘には、絵を自分で描かせて、字は少し助けながら取り組みました。8歳と10歳の上の子たちは、こうやって作ってみてとガイドをして、材料を用意してあげたら、楽しそうに自ら創り上げました。
10歳の息子は大好きなザリガニくんを主人公に、5歳の娘は「ねこちゃんとくまくん」というとてもシンプルな絵本ですが、なんだが味わいのあるものになりました。特に、5歳の娘は、「またやりたい」と何度も言って、自ら続きを書き進めました。
オリジナル絵本を親子で創るという手法は創造性や発想力、言葉や物語への好奇心、表現力やコミュニケーションを伸ばすのに非常に優れた方法なのではないかと思うようになりました。そこで、周りの友人や私が主宰するオンラインサロンMSI塾のメンバーなどに協力してもらい、絵本つくりの親子ワークショップをやってみたところ、それぞれの子どもたちが楽しそうに自分なりのオリジナル絵本をつくっていました。こういった経験をベースに誰もが実践できるワークブックにしようと12月20日に出版するのが『そうゾウくんとえほんづくり』(KADOKAWA)です。
ワークを積み重ねいくと、オリジナルキャラクターをつくったり、キャラクターや場面設定をしたり、物語の起承転結を考えたりしながら、最後にはオリジナル絵本を完成させられるという仕掛けになっています。ぜひ多くの家庭や教育現場で実践してみてもらいたいです。
完成したオリジナル絵本を本棚や学習机、リビングなどに飾っておくと、自分の創作した作品が、売られている名作絵本と並んでいるという自信を得ることにつながります。また、コトバや物語がどこか遠い世界のものではなく、自分ごととして捉えられ、身近なものとして感じられるようになります。12月20日発売ですので、ぜひご予約下さい!