Yahoo!のトップニュースに「ぐるなび会長が30億円、母校に国際交流施設 隈氏設計」という記事が流れていた。以下は提供元である朝日新聞の記事の抜粋。
東京工業大は22日、大岡山キャンパス(東京都目黒区)に、日本出身の学生と留学生らが交流するための施設を建てると発表した。建設資金は、同大の卒業生で飲食店検索サイト「ぐるなび」創業者の滝久雄会長が寄付した30億円でまかない、建築家の隈研吾氏が設計する。2020年10月のオープンを目指すという。
ぐるなびの滝会長が母校の東工大に30億円もの寄付をするということ自体、素晴らしいことで純粋に賞賛に値する。他の起業家や経営者も、ぜひこれにならって社会貢献や教育への寄付を検討いただきたい。
そのうえで一言だけ申し上げると、せっかく30億円もの寄付をされるなら、ハコモノではなく、人材に支援することのほうが求められているのではないかという点だ。
『今こそ「奨学金」の本当の話をしよう。』でも書いたが、今や大学生の2人に1人は貸与型奨学金を利用している。その返済が卒業後も重荷になっていることは、昨今大きな社会問題として注目されている。政府が創設する給付型奨学金もスタートするが、対象者が生活保護受給世帯などに限定されるなどかなり限定的だ。
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国の財政状況が厳しいなか、奨学金を行政だけに頼るのではなく、企業や民間からの寄付を大学が積極的に集めることで、独自の給付型奨学金を多数用意することが一つの解決策になりうる。
たとえば、今回のように30億円であれば、給付型奨学金を年間60万円(月5万円)支給しても、500人に10年間続けることができる。100人であれば50年間だ。一大学であれば、インパクトのある相当な規模の奨学金制度となる。学生にとってニーズのある使われ方になるのではないだろうか。より優秀な人材を大学にひきつけたり、経済的バックグラウンドにかかわらず多様な人材を集めることもできるようになる。
お金はハコモノより「人」に投資してほしい。
そして、今こそ奨学金の元になる民間からの寄付を各大学で本格的にファンドレイズしてはいかがだろうか。