本山勝寛:まなブロ

独学で東大、ハーバード大学院に合格し、国際教育政策修士課程修了。アジア最大級の国際NGOである日本財団で、教育や福祉、NPO支援に携わり世界中を駆け回っています。日本と世界に「学びの革命」を起こすべく、学びのススメを綴ります。 『最強の独学術』https://www.amazon.co.jp/dp/447979610X/

都私立校一部無償化について

小池百合子都知事が1月16日、一定の世帯年収以下の家庭を対象に、都内の私立高校を2017年度から無償化すると発表した。毎日新聞の記事を一部抜粋すると以下の通り。

東京都の小池百合子知事は16日、2017年度から都内在住の私立高生の約3割を対象に授業料を実質無償化すると発表した。世帯年収760万円未満(夫婦と子供2人のモデル世帯の場合)の生徒約5万1000人を対象に、年間授業料の平均額にあたる44万2000円を上限に国と合わせて補助する。都外の高校に通う生徒も対象にする。17年度予算で現行の助成金に75億円を上乗せする。

家庭の経済状況によって通える高校、受けられる中等教育が限定されてしまわないように、子どもたちの学びの選択肢を広げる大胆な良い政策といえよう。これまで低所得・中所得世帯は、公立のみが高校進学の選択肢となることが多かった。私自身も子どもの頃、経済的な事情から、どんなに魅力的な学校があったとしても、私立高校(私立大学)を受験するという選択はまったく考えられなかった

一方で、都内には私立の高校が半数以上を占め、トップレベルの大学に進学しようとしたり、先進的な教育を受けたり、スポーツでトップレベルを目指したい場合は、私立高校のほうが有利な場合が多い。高校教育は義務教育ではないにしても、現代では高校進学率は98%と実質上義務教育化している。そういったほぼ全ての家庭が対象となる教育が、経済事情によって選択肢を狭められるのは、決して機会が公平に用意されているとはいえない。低・中所得世帯を対象にした都の私立高校無償化は、そういった教育格差を是正する策の一つといえる。

一方で、世帯年収760万円を境に、実質無償となるのか授業料支援がほぼなくなるのか、急激な変化をつけてしまうと、公平でないという指摘もある。東京都のホームページにはまだ制度の詳細について公開されていないので確認できないが、世帯年収や子どもの数によって、授業料支援額を段階的に設計する必要がある。

さらに、私立高の無償化で公立高校との競争が激化することも予想される。本来なら、優先的に都立高校のレベルアップをはかり、公立に通っていてもレベルの高い教育を受けられるようにしなければならない。塾に通わなくても、大学進学がしっかりできるよう、公立校のレベルアップにも注力すべきだ。

今回の都の政策が他県にも影響を与え、中等教育と教育費の問題、経済格差と進学格差の問題が日本全体でより活発に議論されることで、よりよい教育改革につながることを期待したい。

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